研究紀要第83号 「基礎・基本の定着と個性の伸長に関する研究 第4年次」 -044/123page

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<2> コース別学習を設定した「小数」の授業

 「小数」の授業においては,一人一人の達成度や学習速度に応じる工夫を行った。全員が同じ問題に取り組むだけでなく,到達点を示し自分の力に合わせてじっくり問題に取り組み,基礎的・基本的な学習内容の定着を図った。更に,より深い学習に進める児童には深化問題に取り組ませた。また,相互の援助活動を通してお互いの「よさ」に気づくような場を設定した。

ア 援助活動を促し,「よさ」を生かす班活動について

 毎時間の練習問題やプリント学習の場面において,リーダーになる児童や交友関係に配慮した意図的な4人の班を構成した。単元の学習を通して同じメンバーで活動した。

 練習問題の場面では,別の問題をそれぞれが解き,4人全員が解答を出してから採点させた。その際に,ただ答えを教えるのでなく,答えがでるまでの筋道を一緒に考えるようにさせた。これらの活動により,お互いの「よさ」を生かせるとともに,その「よさ」に気づくと考えた。

イ 個に応じたコース別学習について

 学習内容の理解と定着を図る場面で,基本的な小数の加法計算についての学習を受けて,8,9,10時間目に小数の加法・滅法計算について,学習速度,達成度に応じたコース別学習を展開した。

 「小数村へようこそ!」という36枚綴りの練習問題を配布し,学習の進め方は,右図に示したように三つのコースを準備した。パンダコースは,問題を自力でほとんど解決でき,深化・発展問題へ取り組める児童のためのコース。リスコースは,時々自分だけでは解決できなくなり先生や友達の援助を必要とし,深化・発展問題へも多少取り組めそうな児童のためのコース。ライオンコースは先生や友達の援助を必要とし,基礎的・基本的な内容を達成できる児童のためのコースである。

 それぞれのコースは学習を進めながら随時学習コースの変更ができるようにした。三つのコースは,色別のカードになっているので,教師は,それぞれのコースの特性に応じて個別指導にあたることができた。

 また,計算の仕方が分からないときや,答えが合わない原因をつかめないとき,班の中で教え合ったり,先生に聞いたりするようにさせた。

 この友達同士の教え合いの中でお互いの「よさ」が生かせると考えた。

パンダコース
リスコース
ライオンコース

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