研究紀要第83号 「基礎・基本の定着と個性の伸長に関する研究 第4年次」 -045/123page
(4) 「よさ」の意識化
児童に自分の「よさ」を自覚させるためには,自分の「よさ」の気づきと,友達や教師など他からも認められることが大切な要素になる。また,毎時間自分の「よさ」を意識的に振り返ったり,反省したりすることも必要になる。 そこで,事前にとらえた自分の「よさ」を個人カルテに記載し,常に意識できるようにした。また,毎時間,授業終了時に自己評価を行い自分の「よさ」を気づかせた。更に,相互評価を行い,友達からの「よさ」の認め合いや教師が授業中に把握した「よさ」を個人カルテの先生からの欄に記載することを通して「よさ」の意識化を図った。 <1> 成就感と興味を持続させる自己評価
これまでの実践では,学習場面で数多く自己評価させることによって,学習の効果や「よさ」の意識化を図ろうとしてきた。しかし,この活動によって,児童の学習時間を十分確保することができなかったり,授業の流れを中断させたりすることなどの問題点が見うけられる場合があった。それらの間道点を改善するために,今向の実践では,毎時間の授業の最後に短時間の自己評価を位置づけ,その時間に学習した内容や学習方法などの観点について文章で自己評価させた。
第1次実践「角の大きさ」の自己評価 第4時間目 I子の例
評価の観点
角度をはかるときは,どんなところに気をつけなければいけませんか? プリント学習は,どうでしたか? 宝島の宝にたどりつきそうですか。 「角の大きさ」の授業においては,上図に示したようにそれぞれの観点をトランプのマークで指示し,自己評価させた。また,「宝のありか」にたどり着きそうかどうかなど,児童の意欲を喚起する観点も加え,最初の課題を解決する意欲を持続させながら,基礎的・基本的な内容の定着を図るようにさせた。
「小数」の授業においては,授業のめあてにかかわる観点をあらかじめ示し,単元全体の流れが児童にわかるようにした。更に,自分の「よさ」を強く意識化させる欄を設け,自己評価させた。
<2> 「よさ」を意識化させる「お手紙カード」の活用
集団解決の過程における比較,吟味の話し合いで感じた友達の考えの「よさ」や,グループ活動や援助活動で感じた「よさ」を相手に知らせるために,下に示した「お手紙カード」を活用させた。「お手紙カード」は,毎時間の最後に相互評価として位置づけた。友達から渡された「お手紙カード」は,個人カルテの真に貼り,記録として累積させた。これらの活動により自分の「よさ」が意識化されていくと考えた。
E子さんへ E子さんは,位をそろえることがわかればもっと問題ができるようになるよ。 T男より
T男さんへ 小数の位がわたしはわかっていなくていっしょうけんめいせつめいしてどうもありがとう。あまりすすんでいないけれど,<5>−1の2まできましたよ。 E子より