研究紀要第84号 「授業におけるコンピューターの効果的な活用に関する研究 第1年次」 -068/123page
2 研究の概要
平成元年3月に告示された新学習指導要領では,各学校段階ごとに情報教育の在り方が示されており,関連する各教科等にコンピュータの利用を重視とする指導内容が盛り込まれている。
一方,現在,学校においては新学習指導要領の実施に備え,コンピュータの導入が進んでいるが,授業におけるコンピュータの活用(情報教育に関する専門教育を除く)に関しては,まだ緒についたばかりである(実態調査1)。
本研究ではこのことにかんがみ,時代に対応した教育内容改善の積極的推進を図るため,研究期間は平成2年度より2年間とし,研究に着手した。第1年次は「教科・科目の学習内容とコンピュータの機能との関連について」を副主題として研究を行った。以下にその概要を述べる。
1.コンピュータの効果的な活用への視点
昭和60年8月の「情報化社会に関する初等中等教育の在り方に関する調査研究協力者会議」の「第1次審議のとりまとめ」では,学校教育におけるコンピュータ利用形態として,
<1> コンピュータ等を利用した学習指導
<2> コンピュータ等に関する教育
<> <3> 教師の指導計画作成等及び学校経営援助のための利用の3点を挙げている。
このうち<1>,<3>は学校教育におけるコンピュータの活用にかかわるものである。<1>,<3>におけるコンピュータの効果的な活用法はいろいろ考えられるが,コンピュータを活用するに当たって最も基本的に把握しておかなければならないのは,コンピュータの機能である。さらに,コンピュータを授業で効果的に活用するためには,教科・科目の指導内容とコンピュータ機能との関連を明確にする必要がある。
本研究では,このような視点から,コンピュータ機能の概念を規定するとともに,この機能が各学校でどのような形で利用されているのかについて実態調査2を実施した。そして,この実態調査で明らかにされた問題点を踏まえ,本研究対象教科・科目,3校種7教科9科目の学習指導内容とコンピュータ機能との関連表を作成した。