研究紀要第84号 「授業におけるコンピューターの効果的な活用に関する研究 第1年次」 -072/123page
が難しかった場面で活用していく。
<2> 実際の観察,実験などから得られる情報とコンピュータから得られる情報が融合され,確かな自然認識に役立つような活用を行う。
<3> コンピュータの安易な導入によって,間接経験の増大に陥らないようにする。
<4> シミュレーションの演示を児童の直接経験の場である観察,実験と代替しないようにする。
<5> コンピュータヘのデータの入力や処理の方法などに自由度を持たせ,児童の主体性が確保されるように配慮する。
このような基本的な考えに基づき3年から6年まで理科の学習内容の中で,どのような活用の仕方が可能なのかを分析し,学習内容とコンピュータの機能との関連表を作成した。
表3−1小学校理科の学習内容とコンピュータの関連
学年領域
単元名
学習内容とコンピュータの活用目的
検 計 測 シ 図 文 通 3年
A ・草花をさがそう
・草花をそだてよう(1)(2)(3)
・チョウをそだてよう
・虫のからだをしらべよう
・人のからだをしらべよう
・春がくる「草花の名前」・植物の特徴から植物名を
検索させ,植物の初歩的な見分け方を身
につけさせる。○ B ・空気と水をくらべよう ・明かりをつけよう ・光をあてよう
・音を出してみよう ・磁石につけようC ・日なたと日かげ ・土と右をしらべよう 4年 A ・あたたかくなって
・生き物の1日と人のからだ
・暑くなって
・寒くなって
・あたたかさと生き物「運動した前後のからだの変化」・運動した
体の体温や脈拍の変化をセンサーでとらえ,
運動した体の様子の変化を視覚的に理解させ
る。○ ○ B ・もののあたたまりかたと体積 「対流」・熟せられた各部の水の温度変化を
センサーでとらえ,対流現象についての情報
を収集させる。○ ○ 「沸点」・入力した水温の変化のデータをグ
ラフ化し,熟せられた水の温度の変化を視覚
的に理解させる。○ ・水のすがたとゆくえ ・ものの重さとてんびん ・電気のはたらき C ・流れる水のはたらき ・水のすがたとゆくえ 5年 A ・たねのつくりと発芽 ・動物と人の誕生 ・植物の成長
・魚の育ち方 ・花から実へB
・もののとけかた 「ホウ酸のとけかた」・ホウ酸の溶け方を調
べたデータをグラフ化し,ホウ酸の温度によ
る溶け方の変化を視覚的に理解させる。
○ ○ ・てこのはたらき
「てんびんのつりあい」・てんびんのつりあ
い方のシミュレーションと実験結果を照合し
て,てんびんのつりあいの条件を考えさせる○ ・おもりのはたらき C ・天気と気温の変化 「太陽の高さと気温」・太陽高度と気温の測
定結果をグラフ化し,両者の変化の様子とか
かわり合いについて理解させる。○ ・太陽と月 「月の満ち欠け」・月の満ち欠けの仕組みを
シミュレーションで演示し,満ち欠けが起き
る仕組みの理解を深めさせる。○ 6年 A ・植物のからだと日光 ・人と動物のからだ ・人と環境 B ・水溶液の性質とはたらき ・熱によるものの変化 ・電磁石と発熱 C ・大地のつくり ・夏の星
・星の動き「星と星座」・季節ごとに見られる代表的な
星や星座の分布をシミュレーションで演示し
天体について関心を深めさせる。○