研究紀要第84号 「授業におけるコンピューターの効果的な活用に関する研究 第1年次」 -073/123page

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(4) コンピュータの機能を生かした授業の具体例

<1> 学年 4年

<2> 単元名(もののあたたまりかたと体積)

<3> 学習内容とコンピュータの活用目的

 この単元では,あたためられた水や空気や金属の体積などの状態変化や熱の移動の様子,そして水の沸点の測定などを主な学習内容としている。

 水の沸点の測定の学習では,アルコールランプなどで熟した水の温度変化を測定して,その結果は,折れ線グラフにまとめることになる。図3−3に示すように児童の発想を生かした授業の進め方をした場合,水の温度は100℃付近で一定になるという認識に到達するまで,実験方法の改良や実験の視点の変更などで数回の実験がなされることが予想される。

 ところでグラフ用紙に折れ線グラフをかくという作業は,4年生の児童にとって個人差も考慮すると,かき上げるまでとても時間がかかる作業である。1単位時間の授業の中で占める時間的な割合も大きなものである。一度は,実際に紙の上にかかせるにしても,測定の度にグラフをかかせるとなると,理科の中核的な活動である観察,実験や結果の考察についての話し合いに十分な時間がとれないことも多い。また,作業の遅い児童にとっては,学習意欲の低下につながることも予想される。

 そこで,二度目の実験からは,グラフの作成をコンピュータで行い,結果の考察及び観察,実験のための時間の確保を試みた。

<4> コンピュータの機能の活用部分

(ア) ソフトの名称(グラフ作成ソフト)

(イ) 主な機能

 ・作成するグラフの種別が選択できる。

  (折れ線グラフ,棒グラフ,柱状グラフ)

 ・縦軸,横軸の名称の指定ができる。

 ・表中の横軸の値を入力し終わると,自動的に指定のグラフを作成する。

 ・作成したグラフは,印刷することができ児童のノート作りに生かすことができる。

図3−3 コンピュータの位置づけ
図3−3 コンピュータの位置づけ

(5) 研究のまとめ

 本年度は,コンピュータが小学校の観察,実験の方法の改善につながる道具として,どのような活用が可能であるかという点を中心に研究を進めてきた。

 その結果,コンピュータの機能や小学校の学習指導内容の分析を通じて,コンピュータが活用できる部分は,児童の個別学習のためのCAI的な活用ばかりではなく,実験観察の道具として活用できる部分があることが分かった。

 次年度は,本年度の研究を基礎として,実際の理科の授業の中で,コンピュータを問題解決の道具として機能させるために必要な単元の構成や指導過程などの具体的な授業設計の方法について研究を進めたいと考えている。


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