研究紀要第84号 「授業におけるコンピューターの効果的な活用に関する研究 第1年次」 -075/123page
<2> コンピュータ利用の理由
数学科では,次の<1>〜<5>を,他の教具などにはないコンピュータの特徴ととらえ,コンピュータ機能の使用および位置づけの理由とした。
○コンピュータ利用の理由(数学科)
<1>反復計算,反復表示 <2>高速計算
<3>大量のデータ処理 <4>模擬操作・実験
<5>正確な計算・表示
表3−4 学習内容とコンピュータの機能との関連(図形の領域)
年
単元
教科
コンピュータの活用場面
理由
コンピュータ機能
検 計 測 シ 図 文 通 1 平面図形
1.図形の基礎
・直線と角,平行
2.条件を満たす点と作図
3.図形の移動
・平行,対称,回転移動○基本作図の確認
○条件を満たす点の作図と確認
○図形の操作4 5
4 5○
○
○○
○
○空間図形
1.空間図形の基礎
・平面,直線の位置関係
2.空間図形の見方と表し方
・平面図形の運動
・空間図形の切断
・投影図,展開図○位置関係の確認,画面操作
○空間図形の切断,投影,展開
4 5
4 5
○
○
○
○
2 平行と合同
1.平行線の性質
・平行線の性質
・多角形の角
2.三角形の合同
・三角形の合同条件
・図形と証明
・二等辺三角形
・直角三角形の合同条件
3.平行四辺形
・平行四辺形の性質○角の移動
○合同な図形の確認
○合同条件の付加4
5
1 4 5○
○
○○
○
○
○…図形領域全体を通して
◎図形用語と図形の性質の定着1 3
4 5
○
○
○
○○条件付加と平行四辺形の決定 1 4 5 ○ 相 似
1.相似
・図形の拡大,縮小
・三角形の相似条件
2.図形と比
・平行線と線分の比
3.相似の応用
・測量と縮図
○相似な図形の拡大と縮小
○平行線の付加と線分の比
○測量に基づく縮図の作成4 5
5
2 5
○○
○
○○
○
○3 円の性質
1.円と直線
2.二つの円
3.円周角○円と直線,2つの円の位置関係 4 ○ ○ 三平方の定理
1.三平方の定理
2.三平方の定理の利用○いろいろな証明
○ドリル型問題演習4
1 2 3
○○
○○
○図形の計量
1.扇形の弧の長さと面積
2.球の表面積と体積
3.面積比,体積の比○求積式と概略と公式
・いろいろな求積の方法4 5
1
○○
○
※理由の項目内の番号は上記「利用の理由」の内容である。
(3) コンピュータの機能を生かした授業について
コンピュータの利用で,データベースを基にした学習は,生徒が問題意識をもって働きかけることによって,学習意欲及び興味・関心が高まり,生徒の特性に応じた学習指導が可能で,学習効果が上がることが期待できる。
「図形用語と図形の性質の定着」の学習を適し,情報検索機能を用いて,主体的な学習態度の育成を図る具体例を挙げる(表3−4の◎印)。データベースは,図形の用語と性質の説明に加え,関連する図などを1つの画面(1データ)に作成して,保存,蓄積したものとする。
さらに,データ間を系統づけるため,画面にはその画面に関連のある用語や性質も表示しておく。
生徒は,分からない用語や性質をキーワードとして,そのキーワードの含まれるデータ(画面)を検索し,表示させて学習する。さらに,取り出した画面の中で,知りたい用語や性質を同様に検索する。活用場面としては,まとめや課題学習などが考えられる。
データの作成では,学習内容についての目標分析や実際の授業における教材分析を的確に行いながら,生徒の実態に即するようにすることが大切である。