研究紀要第84号 「授業におけるコンピューターの効果的な活用に関する研究 第1年次」 -076/123page

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【理科】

(1) 学習指導におけるコンピュータ活用の基本的な考え方

 中学校理科では,観察,実験の一層の重視,基礎・基本の定着,主体的,創造的な学習活動の展開といった方向が示されており,理科学習指導におけるコンピュータ活用でも,こうした方向性を支援するものでなければならない。

 「生徒の学習のよりよい成立を支援するツールとしてのコンピュータ活用」という視点のもと,次の三つを基本として踏まえ,学習指導内容とコンピュータの機能との関連の表を作成した。

○ 観察,実験等では,知的・創造的・効率的ツールとして用いることにより,生徒の問題解決活動の幅を広げられるような活用を図る。観察,実験の行いにくい内容では,シミュレーション機能により,主体的な学習活動が可能となるような活用を図る。したがって,観察,実験が可能な内容にシミュレーション機能は用いない。

○ 教育メディアのひとつとして,ほかのメディア(ビデオ,OHP,写真等)とともに,指導内容に応じた使い分けあるいは併用により,より効果的な教育メディア群を形成するような活用を図る。したがって,ほかのメディアで代替可能な内容まであえて活用はしない。

(2) 学習指導内容とコンピュータの機能との関連

 上記の考えのもとに作成した学習指導内容とコンピュータの機能との関連表を以下に示す。

表3−5−1 理科第一分野における関連

項目

学習内容とコンピュータの活用目的・方法

活用
理由※

活用する
コンピュータの機能

(1)身の回りの物質とその変化
ア 水溶液
イ 物質と状態変化
ウ 気体の発生
「溶解とろ過」 粒子の大きさ,温度の条件を変えて,ろ過現象をシミュレーションで示し,物質の粒子性と溶解及びろ過現象を視覚的にとらえさせる。




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(2)身の回りの物理現象
ア 光と書
イ 熱と温度
ウ 力
エ 圧力
「音の性質」 昔としての空気の振動のようすを,高さ,強さを変えながらシミュレーションで示し,目に見えない空気の振動とその広がりを探究させる。

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「比熱」 いろいろな物質を加熱したときの温度の変化をセンサーでとらえ,グラフ化し,比熱について理解させる。
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(3)化学変化と原子・分子
ア 化学変化
イ 原子と分子
                 
(4)電  流
ア 電流と電圧
イ 電流の働きと電子の流れ
「電流と電圧」 電熱線にかかる電流と電圧の測定値をグラフ化し,電流,電圧と抵抗の関係把握の能率化を図る。
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「電流による発熱」 電圧,電流,時間を変えたときの水の温度変化をセンサーで計測,グラフ化し,電力,電力量について理解させる。
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(5)化学変化とイオン
ア 電気分解とイオン
イ 酸・アルカリ・塩
「中和反応」 中和反応における溶液の温度,PHの変化をセンサーで計測し,中和反応の探究を容易にする。
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「中和反応」 イオンの種類や温度を変えて中和反応のシミュレーションを行い,中和反応を量的にとらえさせる。
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(6) 運動とエネルギー
ア 力のはたらき
イ 物体の運動
ウ 仕事とエネルギー
エ 科学技術の進歩と人間生活
「運動のようす」 落下運動等の時間を計測,グラフ化し,等速直線運動や等加速度運動の特性を理解させる。

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「力学的エネルギー」 位置エネルギー,運動エネルギーにおける測定値の計算,グラフ処理により,力学的エネルギーの特性を理解させる。

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※活用理由の1〜4は,次による。(次ぺージも同じ。)1理解困難な内容の指導効果向上のため 2観象,実験困難な内寄の模擬体験提供のため 3観察,実験等の効率化のため


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