研究紀要第84号 「授業におけるコンピューターの効果的な活用に関する研究 第1年次」 -077/123page
表3−5−2 中学校理科第二分野における関連
項目
学習内容とコンピュータの活用目的
活用
理由※活用するコンピュータの種類 検
計
測
シ
図
文
通
(1)植物の生活と種類
ア 植物の生活とからだのつくり
イ 植物のなかま「光の強さと光合成量」 光の強さと二酸化炭素感度をセンサーで計測,グラフ化し,光の強さと光合成量の関係の理解を図る。 3 ○ ○ 「蒸散のはたら−き」 電子上皿てんびんをコンピュータにつなき,植物体の重さの変化を計測グラフ化し,蒸散のはたらきの理解を図る。 2 3 ○ ○ 「種子植物の検索」 茎,花や葉などの観察で得られる情報から種子植物の種類を検索し,植物分類の方法について理解させる。 3 ○ (2)地球と太陽系
ア 身近な天体
イ 惑星と太陽系「星座シミュレーション」 同時刻の冬季節に見える星座をシミュレーションで示し,地球の公転を推論させる補助資料を提供する。 2 ○ 「金星の昼間観察」 観測地の座標,時刻,天体の位置をもとにコンピュータで望遠鏡の向きを制御し,これにより金星を昼間もとええ,観測させる。 3 ○ 「惑星の動き」 惑星の天球上の動きと軌道との関係をシミュレーションで示し,惑星の公転運動の理解を図る。 1 2 ○ (3)動物の生活と種類
ア 動物の生活とからだのつくり
イ 動物のなかま「脊椎動物の検索」 脊椎動物の生殖,形態などの特徴からグループ名を検索し,脊椎動物分類の方法を理解させる。 3 ○ 「昆虫の検索」 昆虫の足,羽など形態の特徴からグループ名を検索し,昆虫分類の方法を理解させる。 3 ○ (4)天気とその変化
ア 天気の変化
イ 日本の天気「雲の発生のモデル実験」 フラスコ内の空気の温度と圧力の変化をセンサーでとらえ,空気の断熱膨張による雲の発生メカニズムの理解を助ける。 3 ○ 「日本付近の雲の分布と動き」 気象衛生画像を受信,処理して,日本付近の雲の分布と動きをとらえ,日本の天気の特徴を理解させる。 2 ○ ○ (5)生物のつながり
ア 生物と細胞
イ 生物の殖え方と遺伝
ウ 生物界のつながり「遺伝のしくみ」 遺伝子のかけあわせによってできる表現型の分離比をシミュレーションで示し,遺伝のしくみを理解させる。 1 2 ○ 「食物連鎖による個体数変動」 モデル生態系内の食物連鎖による生物個体数の変動をシミュレーションで示し,生態系にはたらくつりあいを理解させる。 2 ○ (6)大地の変化と地球
ア 火山と地震
イ 地層と過去の様子
ウ 地球と人間「岩石の検索」 岩石のつくり,粒子の形,色,造岩鉱物の観察で得られる情報をもとに岩石名を検索し,岩石分類の方法を理解させる。 3 ○ 「地震波の伝わりかた」 地震のP波,S波の伝わり方をシミュレーションで示し,その到達時刻と震源距離との関係をグラフ化することにより,地震の波の伝わり方を理解させる。 2 3 ○ ○ ○ 「地球温硬化による海水面上昇」 地図上で指定等高線以下の陸地を着色して海水面上昇による影響をシミュレーションで示し,地球温暖化問題の資料を提供する。 2 ○ (3) コンピュータの機能を生かした授業について
○ 「地震波の伝わり方」の指導における活用
地震に関する指導は,直接観察実験ができない事象ゆえ,簡単なモデル実験や資料学習をもとに授業を組み立てるのが普通である。しかし,これでは地震の発生から伝播,地震計への記録までの流れが不適続的,断片的になり,事象の理解が阻害されがちになる。ここでは,コンピュータのシミュレーションとグラフ処理を用いて,地震波の発生伝播から地震計への記録までを同一画面で同時に提示することで,地震波の伝わり方を理解させ,さらに初期微動継続時間が震源からの距離を暗示することも即時に気づかせることができる。
実際の指導の場面では,グループごとに観測地点をいくつか選択,入力し,得られた走時曲線をオーバーレイして全体で比較,考察する流れが考えられる。
また,留意点として,この指導をもって従来行っていた実際の地震データによる実習を省略するのは避け,むしろ前もって行わせることにより,学習内容の定着がより確実となり,学習の発展にもつながる。