研究紀要第84号 「授業におけるコンピューターの効果的な活用に関する研究 第1年次」 -078/123page

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【技術】

(1) コンピュータを活用した学習指導の基本的な考え方

 技術・家庭科における「コンピュータ学習」には,「情報基礎」領域での「教材としてのコンピュータ活用」と,他領域での「教育機器としてのコンピュータ活用」がある。ここでは後者について述べるが,活用に関する基本的な考え方(視点)は以下の通りである。

1 実験・実習・製作に必要な知識・技能の効率的な定着を図るための個別指導での活用

2 直接事物を対象にできない学習での活用

・変数を自由に変えることが困難な実験

・危険を伴う現象の観察実験

・観察不可能な現象の理解

3 正確さを必要とする構想表示の学習での活用

4 多くの情報を短時間に比較・検討し,必要な情報を選択するような学習での活用

(視点1〜4とし,関連表の中に記入した。)

(2) コンピュータ活用状況調査結果について

 実態調査 2(技術・家庭科に関する部分)によると,パソコンを授業に活用した学校は14校と少なく,1〜2台を活用した学校が多い。ソフトウェアの自作率は低く,パソコン活用時の学習形態は一斉指導(64.3%)が多い。

 活用目的は図3−4の通りで,導入台数が少ないためか興味・関心のための活用が多く,問題解決には活用されていない。また,機能別活用比率は図3−5の通りで,本教科の特徴からシミュレーション(内燃機関の動作)や図形作成機能(構想図の作成)の活用が多い。

図3−4 パソコンの活用目的(%)
図3−4 パソコンの活用目的(%)

図3−5 活用したパソコンの機能(%)
図3−5 活用したパソコンの機能(%)

(3) コンピュータの機能を生かした授業

 (2)の状況をふまえ,実験,実習,製作に直結したシミュレーション機能(木材変形の様子や実習準備段階での疑似体験等)や作図機能構想表示等)の活用を始めとして,データベース機能(導入やまとめでの多数の情報提示等)や計算機能(強度計算等)の活用も考えられる。

 そして,これらを統合し,活用範囲を問題解決学習(設計等)まで広げることも考えられる。

 指導の面からは,一人一人の思考を援助したり,基礎的内容の定着を図る場面等への活用も必要となってくると思われる。

 当教科の技術系列領域の学習内容とコンピュータ機能との関連を表3−6−1〜5に示す。表は検討中で,ソフトの開発はこれからである。

表3−6−1「A木材加工」領域の学習項目とコンピュータの機能との関連表

木材加工の学習項目

コンピュータを活用する場面・活用の視点

活用するコンピュータの機能

(1)木製品の設計 【丈夫な構造】視点2
丈夫な構造の学習において,部材の組み合わせ方と強度の関係を数値の入力で視覚的に短時間に調べられる。
【構想図】視点3
製作品の構想図の作図において,何度も修正しながら正確に製図できる。
 

 

 

 

   
(2)木製品の材料 【木材の特徴】視点2 
木材の変形の学習において,乾燥条件と木材の変形の様子との関係を,数値の入力で視覚的に短時間に調べられる。
           
(3)木工異と木工機械の使用 【加工と工具】視点1
製作の直前において,製作に必要な知識や技能(手順・工具や使用法と加工を個々の生徒が効率的に確認できる。
           
(4)社会での木材の役割                

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