研究紀要第84号 「授業におけるコンピューターの効果的な活用に関する研究 第1年次」 -080/123page

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3.高等学校 【理科】

(1) 研究科目について

 新学習指導要領では,下記の13科目となった。

研究科目

 この中で本研究では,標準単位が4単位で,他と比べて履修率が高くなると予想される物理IB,化学IB,生物IBを選んだ。

(2) 実態調査について

<1> コンピュータ活用の授業を実施した科目

 平成元年度末までにコンピュータを授業に活用した科目とその延べ件数は

  理科T 7(物理 5,化学1,生物 0,地学1)   
  理科2(ローマ数字) 2,物理13,化学13,生物 2,地学0   

となっており,物理と化学の領域での活用が多い。

<2> 活用目的

 理科では,授業にコンピュータを活用した目的として,「内容の定着」に次いで「問題解決への活用」「興味関心を高めるため」が多くなっている。「表現活動への活用」はまだ少なく,「コンピュータリテラシーヘの活用」は全くなかった。

図3−6 活用目的
図3−6 活用目的

<3> 活用した機能

 活用した機能の割合は下のグラフのようにシミュレーションが最も多く,次いで計算機能が活用されている。また,情報検索機能の活用例はあまりなかった。

図3−7 活用機能
図3−7 活用機能

(3) コンピュータ活用上の問題点

 理科における指導内容と機能との関連を分析すると,例えば計測・制御機能についての活用可能部分は,3科目(p81〜83)平均で活用全体の22%も占め,その必要性が顕著である。

 しかし,実態調査の結果では,計測・制御機能はほとんど活用されていない。これは汎用性のある取り扱いの簡単な計測器が開発・普及されていないことが主な原因であろう。これらを含めた次の3つが今後の大きな課題である。

1 授業に適したソフトウェアの開発や収集

2 授業に適した計測器の開発やセンサーの選定

3 教育用ソフトウェア,ハードウェア情報の収集と提供

(4) 学習指導におけるコンピュータ活用の基本的な考え方

 理科教育の目標は,自然の事物や現象についての理解を深め,科学的な自然観を育成することにある。高校理科においても,まず観察,実験等の直接経験の重視が挙げられ,さらに,探究活動等を通して生徒に科学の方法を習得させることが重視されている。したがって,実際に観察,実験できるものや,あるいはVTR等の他のツールの方が提示効果が大きいものへの安易な代替は慎まなければならない。本研究では指導内容とコンピュータの機能を生かした活用との関連を次のような視点から洗い出した。

1 観察,実験等に関するデータの検索の支援

2 観察,実験等のデータ整理の支援

3 観察,実験等の計測の支援

4 観察,実験等が不可能な現象のシミュレート

  ○ 目に見えない微小な世界の現象

  ○ 宇宙的なスケールの現象

  ○ 時間的に非常に長いまたは短い現象

  ○ 速さが非常に速いまたは遅い現象等

5 探究活動の支援

  ○ 解決すべき課題についての情報収集,検索,測定,結果の処理,研究報告書の作成

 これらを踏まえて,上記3科目についての研究結果を集約して次に示す。


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