研究紀要第84号 「授業におけるコンピューターの効果的な活用に関する研究 第1年次」 -085/123page
(2)「家庭一般」の学習指導内容とコンピュータの機能との関連
ここでは,履修する確立が最も高く,家庭に関する科目の基礎ともなる「家庭一般」を取り上げた。
前述のコンピュータ活用の視点(1〜4)に基づき,次のような関連表(試案)を作成した。
表3−10 【家庭一般】の学習内容とコンピュータの機能との関連
項目
学習内容とコンピュータ活用の視点(1〜4)及び活用方法
活用するコンピュータ機能
検
計
測
シ
図
文
通
(1)家族と家庭生活
家庭の機能と家族関係
家族の生活と家庭経営
生活設計
高齢者の生活と福祉【家族に関する法律】1 民法を教材にし,家族法を理解させる。
【生活時間調査】2 実態調査のデータ処理と図表化。
【生活設計】3 ライフステージ毎の生活課題を構想表現させる。
【老人福祉施設調査】1 調査内容のデータベース化。○
○○
○
○
○
○
(2)家庭経済と消費
家庭の経済生活
消費生活と消費者としての
自覚
生活情報の活用【経済計画】2,3 教育費の資金調達計算より,長期経済構想をたてさせる。
【家庭簿記】2 家計の収支計算をし,グラフより診断させる。
【市場調査】1,2 市場調査のデータ処理とデータベース化。
【住宅ローンの返済計画】4 金利計算より返済計画をたてさせる。
【生活情報の活用】1 生活情報の検索など活用の仕方を実習させる。
○
○○
○
○
○○
○
○
○
○(3)衣生活の設計と被服製作
被服の機能と着装
被服材料と被服管理
被服製作【被服計画】1 所持衣類のデータベース化。
【デザイン】3 日常著のデザイン(図案・配色)を構想表現させる。○
○
○○
○(4)食生活の設計と調理
家族の食事と栄養
食品の特質と選択
献立と調理【郷土料理】1 調査のデータベース化。
【栄養計算】2 食事のデータ入力,グラフより栄養診断させる。
【献立作成】2 作成献立の栄養計算より適否判断,修正させる。
【調理の基礎】4 計量,調味,廃棄量等基礎問題の演習をさせる。○
○
○
○
○
○○
○
○
(5)住生活の設計と住居の管理
住居の機能と住生活の設計
居住性と住居の管理【住居の設計】3 間取り,家具の配置を構想表現させる。
【不快指数,照度,騒音測定】2 実験のデータ処理と図表化。
【室内装飾】3 調度品配置と室内彩色を構想表現させる。○ ○
○○
○
○(6)乳幼児の保育と親の役割
青年期の生き方と結婚
母性の健康と生命の誕生
乳幼児の保育
子供の人間形成と親の役割【乳幼児の発達】3 発育の過程を視覚より理解させる。
1 観察記録のデータベース化。
○○ ○ ○ (7)ホームプロジェクトの実践
と学校家庭クラブ【家庭生活診断】4 領域毎に項目チェックしグラフより診断。
【各種調査】2 調査のデータ処理,図表化。○
○○
○注)コンピュータ活用の視点 1 資料としての活用 2 データ処理 3 構想表現の支援 4 問題解決学習の支援
(3)コンピュータの機能を生かした授業について
家庭科においては,表3−10のように情報検索,計算,シミュレーション,図形作成機能等多面的な活用が考えられる。
例えば,食物領域の栄養・献立学習では計算が面倒,わかりにくい等敬遠されがちであったが,計算,検索,シミュレーション機能を上手に生かして,的確,迅速に栄養・献立作成及び診断ができる。この学習後,それらの知識,技能をもとに調理実習に臨むことができる。
コンピュータの効果的な活用は,男女が共に学ぶ新しい家庭科のイーメジづくりにも意義あることと考える。