研究紀要第84号 「授業におけるコンピューターの効果的な活用に関する研究 第1年次」 -086/123page

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【商業】

(1)商業におけるコンピュータを活用した学習指導

 この度の学習指導要領の改訂により,商業科では,経済社会の変化,情報化の進展に対応する視点から内本の改善充実,科目の新設,分離独立,統合等が行われた。この中で,情報処理に関しては,経営管理における情報の役割を理解し,情報を経営管理に効果的に活用するためにコンピュータやソフトウェアに関する知識技術を身に付けることをねらいとしている。すなわち,商業科では,専門教育としてコンピュータの操作についての内容,情報処理についての指導に重点をおいている。

(2)授業におけるコンピュータの活用に関する調査

 教育課程に商業科の科目を設置している県内の高校(33校)に対して,商業科の各科目でコンピュータの活用状況に関するアンケート調査を実施した。表3−11は,活用状況(42例)をまとめたものである。この調査では,次のことが分かった。

1 情報処理1,情報処理2および情報処理関連科目でBASIC言語,COBOL言語によるプログラミングの指導やワープロソフト,表計算ソフトを利用しての操作など,コンピュータリテラシーに重点をおいた活用が中心になっている。

2 学習指導の効果を上げるため,CAIなどに利用するというのは6例であり,経理処理等のデータ処理に利用しているのは7例であった。

3 利用しているソフトウェアは,自作のものが12例(29%),自作以外のものが30例(71%)である。コンピュータの機能では,計算機能を一番多く利用しており,情報検索機能,文書作成機能の順に利用されている。計測・制御の機能を利用している例はなかった。

4 学習形態は,一斉学習(28例),個別学習(10例),グループ学習(4例)の順になっている。コンピュータの利用目的は,「学習指導の道具として学習内容の定着を図るため」の利用例が19例と一番多く,「興味・関心を高める」(9例)「コンピュータリテラシーの育成」(9例)の順になっている。「問題解決学習の知的ツール」(3例),「情報の表現活動の創造的ツール」(2例)としての活用例は,少ない。授業でコンピュータを利用する目的は,ほぼ達成された(83%),十分達成された(14%)と認識されている。

 また,「学習指導内容とコンピュータとの関連」を示す資料を持っている例は16例(38%),持っていない例は26例(62%)であった。資料を持っていない教師で関連表を必要とするとの回答は,23例(88%)と多く,こうした資料を必要としていることが明らかになった。

 表3−11商業科における各科目のパソコン利用状況(科目と内容)調査結果

 

CAI

データ処理

BASIC

COBOL

ワープロ

表計算ソフト

その他

合計

商業経済1

2             2

簿記会計1

1 2           3

情報処理1,2

2   6 8 1 4   21

総合実践

  5     2     7

OA事務等

        6     6

情報関連科目

1   1       1 3

合計

6 7 7 8 9 4 1 42

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