研究紀要第84号 「授業におけるコンピューターの効果的な活用に関する研究 第1年次」 -088/123page

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4 研究結果と今後の課題

 本研究の第一年次は,児童生徒の主体的な学習活動を支援する方策の一環として,「新学習指導要領に示された各教科・科目における学習内容とコンピュータ機能との関連」を取り上げ,授業におけるコンピュータの効果的活用の在り方を追究した。

 なお,今回は,研究対象教科・科目を理科(小・中・高校),数学(中),技術(中),家庭(高),商業(高)とした。

 研究経過をまとめると下表のようになる。

1  現在,コンピュータを活用して授業を行っている小・中・高等学校に対し,活用状況に関する実態を調査した。
2  コンピュータを効果的に活用する上で基本とするコンピュータ機能の分類と,その概念規定を行った。
3  分類及び概念規定されたコンピュータ機能と各教科(理・数・技・家・商)・科目の指導内容との関連表を作成し,コンピュータの機能を生かした学習の在り方を追究した。
4  関連表に基づく教材ソフトウェアの整備に関する検討を行った。

 以下に,結果の概要と今後の課題について述べる。

1.実態調査結果について

<1> コンピュータ導入状況に関する調査

 今回のコンピュータ導入状況に関する調査では,小・中学校におけるコンピュータ設置校数は2年前(S.62)に比べて3倍となっている。しかし,設置率は40%と低い。一方,高校における設置率は,実業高校で100%,普通高校で98%であった。 コンピュータの導入は今後ますます進と思われるが,授業への効果的活用を図るためには,コンピュータの活用に関する新しい教育情報や資料等を積極的に入手する必要があり,コンピュータの効果的活用を図るための校内研究推進体制作り等が重要となろう。

<2> パソコン利用状況に関する調査

 本調査は8項目にわたり実施されたが,ここでは,今後の課題となっている項目についてのみ,述べることとする。

(ア)コンピュータの使用形態(理・数・技・家・商)

 コンピュータの使用形態は教科によって多少異なるが,小・中学校ではグループ指導が中心(小60%,中47%)であり,高校では一斉指導が中心(63%)であることが分かった。

 主体的な学習を進めるためには個別学習が重要であり,第二年次は個別指導を円滑にするための機器の配置や他の教育メディアとの組合せ等についても検討を加えていく。

(イ)保有ソフトウェア(理・数・技・家・商)

 この調査(表4−1参照)では,ソフトウェアの入手方法は,高校理科を除いて小・中高校共に市販ソフトが多く,自作ソフトは少なかった。

市販,自作いずれのソフトにしても,導入ソフトはコンピュータ機能を十分生かせるものであり,学習指導や学習活動を効果的にするものでなければならない。ソフトの整備に際しては,現有ソフトウェアを含め「各学校の実態に即して児童生徒の主体的活動を効果的にするソフトかどうか」の見直しが重要であるといえる。

表4−1ソフトウェアの入手状況

 

市販ソフト(%)

自作ソフト(%)

理科 55 45
63 37
31 69
数学 59 41
技術 79 21
家庭 88 12
商業 71 29

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