研究紀要第87号 「基礎・基本の定義と個性の伸長に関する研究 第5年次」 -030/109page

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<図1>実践への具体化の方向  

実 践 へ の 方 策 各教科の学習における実践への具体化の方向
○ 一人一人の持ってい る「よさ」や「その子 らしさ」の把握 児童生徒一人一人の持っている「よさ」を把握するために段階に分け た調査をする。 

 (1)第一段階の「よさ」の把握 ・・・児童生徒の全人的な「よさ」の 観点を設けた調査をする。 
 (2)第二段階の「よさ」の把握 ・・・児童生徒の教科学習における 「よさ」の観点を設けた調査をする。 

○「よさ」や「その子らしさ」を生かす視点
  • 領域,題材に応じて,教材に対する児童生徒の具体的な見方や考え方が表れる資料を準備する。 
  • 教材に対する見方や考え方等の「よさ」を学習場面に生かせるような 指導の手だてを工夫する。 
○ 達成度の個人差に応じる指導の在り方
  • 領域,題材に対する一人一人の達成状況により,個別指導等の個人差 に応じた指導の在り方を工夫する。  
○ 興味・関心,適性に応じる指導の在り方の工夫
  • 領域,題材に応じて,学習方法を選択させたり表現方法を選択させた りする。 
  • 思考の型,行動特性,表現特性に応じた指導の在り方を工夫する。  
○ 基礎的・基本的な内容を身につけさせたり自覚させたりする
  • 領域,題材に応じて,その教材でねらう基礎的・基本的な内容を意図 的に取り上げ,定着させ,更に発展的に定着の深まりを目指す。  
○ 一人一人の個性を生かし,伸ばす
  • 学習内容や学習活動,表現したものなど具体的なものから,観点を設 けて自己評価や相互評価などを通して児童生徒一人一人の「よさ」を意 識化させていく場を設定する。  
  • 意識化された「よさ」を生かす指導を繰り返すことによって,「よさ」 を伸ばしていく。 

ついての「よさ」の把握,生かす,意識化の各段階を通して,その記録を累積しておくものである。 

 「個人カルテ」は,単元の展開にそって児童生 徒一人一人の必要な動きが見えるものであり,かつ精選された内容であることが要求される。  

 ○ 「よさ」を生かす

 学習指導の場面で,教材内容と学習活動のかか わりから,事前にとらえた「よさ」を生かしなが ら多様な学習活動を組み込んでいく。 

 「よさ」を生かすためには,児童生徒一人一人 の興味・関心,能力,適性等に応じた教材,題材 の選定や学習課題の設定が大切になる。また,学 習形態についても,個別指導,ティームティーチ ング(T−T)による指導,グループ学習等,児 童生徒が多彩な学習活動を展開できるようにする。  

 ○ 「よさ」の意識化

 児童生徒に自分の「よさ」を意識化させるため には,自分で自分の「よさ」に気づくことだけで は不十分であり,友達や教師など他からも認めら れることが重要な要素になると考えられる。  

 そこで,教材,題材内容と学習活動とのかかわりから,児童生徒一人一人の持つ「よさ」を意識化させる多様な学習活動の場面を指導計画の中に位置づける。この繰り返しが,児童生徒一人一人の「よさ」の自覚につながると考えられる。 

 ○ 「よさ」を伸ばす 

 児童生徒一人一人の持っ「よさ」は,一つの単 元の学習やその領域の学習の中に顕著に表れてく るとは限らない。「よさ」が断片的に表れてくる こともあろう。したがって,長期的な見通しを持っ て,児童生徒をじっくりみつめ,地道な観察を通 してその子の「よさ」を認めていくことが必要に


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