研究紀要第87号 「基礎・基本の定義と個性の伸長に関する研究 第5年次」 -031/109page
道徳の時間の学習における実践への具体化の方向
- 道徳的価値に対するその子らしい見方ネ考え方を調査する。
それによって
- (1)道徳の時間で学習す る道徳的価値に対する見方や考え方の広がりを把握する。
- (2)道徳の時間で学習する道徳的価値に対するそれまでのその子の見方や考え方を意識させる。
- 児童生徒のその子らしい見方や考え方が具体的に表出できるような主題を構成する。
- 道徳的価値に対するその子らしい見方や考え方を学習場面に生かせるような指導の手だてを工夫 する。
(道徳の時間の指導では,道徳的実践力の育成をねらいとしているので達成度よりむしろ長時間かけての変容を目指す指導を心がけていく。)
- 一人一人の持っている見方や考え方を交流し合う方法や場の設定を工夫する。
- 多様な考えに関心をもち検討し合えるような指導の在り方を工夫する。
- 認知の型,表現特性等を生かした「価値の内面的自覚」の在り方を工夫する。
- 道徳性の基盤となる基礎的・基本的な内容を自分自身を見つめ直す視点として自覚させ,柔軟で 調和のとれた道徳的実践力の育成を目指す。
- 多面的,多様な考えを検討吟味する中も児童生徒一人一人に「その子らしさ」を自覚させ,生 活の中で生かしていこうとする意欲を高める指導の在り方を工夫する。
- 長期にわたる意図的計画的な指導の中で,「その子らしさ」を発見させ生かす学習活動を繰り返 すことによって,「その子らしさ」を更に伸ばしていく。
なってくる。
その上で「よさ」を生かしながら,題材で意図的な学習指導を繰り返すことによって,「よさ」が伸ばされ,育てられるものと考える。
【3】 「その子らしさ」を育てる学習指導の段階
○ 「その子らしさ」の把握・意識化
- 児童生徒の生活全般についての「その子 らしさ(自分らしさ)」を親,教師・児童生徒の三者 の目から調査し把握する。また,児童生徒にも調 査結果を示し,自分をみつめる手がかりにさせる。
- 授業で取り扱う価値に対する事前の意識調査 を実施し,価値についてのその子らしい見方や考 え方を整理させ,自分をみつめる視点を持たせる。
○ 「その子らしさ」を生かす
- 道徳の時間の指導の中で,事前にとらえたそ の子らしい見方や考え方・問題状況に対するその 子らしい見方や考え方を生かしながら学習が展開 できるよう工夫する。
その際,自分を多面的にみつめることができる よう,次の段階を重視し工夫していく。
● 問題状況に対する自分の考えをしっかり持たせる段階
● それぞれの考えを相互に交流する段階
● よりよい考えを求めて,それぞれの考えを 比較,吟味,検討し合う段階○ 「その子らしさ」の自覚化
- 「その子らしさ(自分らしさ)」をしっかり 心に刻み,生活に生かしていこうとするには,「 それまでの自分」を検討し深く自分をみつめるこ とが重要な要件となる。
そこで事前にとらえた「自分らしさ」や授業で明らかにした自分らしい見方や考え方を,「自分