研究紀要第87号 「基礎・基本の定義と個性の伸長に関する研究 第5年次」 -035/109page

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(図1)体育科実践研究の構想

(1)単元の展開について

 図2は,研究協力校の器械運動領域の年間配当 時数である。その1学期の6時間を検証授業とし て活用した。

(図2)年間配当時数(時数)
一学期
  • マット運動(3時間)
  • 跳び箱運動(3時間) 

<検証授業>

6
二学期
  • 鉄棒運動 (5時間)
5
三学期
  • マット運動(3時間) 
  • 跳び箱運動(2時間)
5

単元総時数

16時間

 単元の構想としては,1・2時間目は,マット 運動と跳び箱運動のそれぞれの既習の技の復習と 1学期の単元で新しく学習する技の練習をさせる。 3・4時間目は,今回の単元で学習する技を中心 にしたコース別学習により,技能の到達度と意欲 に応じた課題を持って練習させる。5・6時間目 は,これまでに学習したものの中から,自己の技 能に応じた技を選択し,独創性のある連続技で表 現させる。 

 この実践の単元指導計画と具体的な手だてにつ いては,図3,図4の通りである。  

(図3)〔マット運動−とび箱運動の単元指導計画〕 

 (単元目標) 

 1.技能の内容
  (1) 自分の能力に適した課題を設定して次の運動や 活動を行い,その技ができるようにする。 
   ア マット運動で技を繰り返したり,組み合わせ たりする。 
   イ 跳び箱運動で支持跳び越しをする。 
   ウ マット運動と跳び箱運動の技を組み合わせ創 作活動をする。

  2.態度の内容 
  (1)互いに励まし合って運動ができるようにする。
  (2)器械・器具の使用の仕方を工夫して,安全に運 動ができるようにする。 
  (3)自分や友達の「よさ」を見つけることができる ようにする。  

 (指導計画)

時 
段階
目標
主な学習内容・活動 
基礎・基本
個性 
評価等 
1
課題把握と解決
この単元で学習する技を練習し連続した動きに慣れさせる。
  1. 既習運動の復習をする。 
  2. 新しい技の練習をする。
  3. 繰り返しの技の練習をする。
  • 自己の能力に適した課題を持って運動する 
  • 技の繰り返しを,つなぎをスムーズに行うことができる  
  • がんばろうとする 
  • 協力し合おうとする 
  • 正しく行おうとする 
  • 安全に気を付けようとする
  •  「よさ」を認め合おうとする  
  • 相互観察による相互評価 
  • 学習カードによる自己評価 
2
新しい技を練習し,次時へのつながらりを持たせる。
  1. 既習運動の復習をする。 
  2. 新しい技の練習をする。 
  3. 連続技の練習をする。
ジェクタビリティ
  • 技の身体的表現(表現力) 
  • 健康や技についての適切な評価(判断力)  
  • 個人カルテによる情意面の自己評価 
3
学習内容の理解と定着
前時までの学習をもとに,自己の能力に合ったコースを丁寧に練習させる。
  1. コースを選び,連続技を練習する。 
  2. スムーズにできるようになったら別のコースに移る。 
  • 自己の能力に適した課題を持って運動を行うことができる 
  • 足交差やジャンプにより技をつなげることができる  
 
  • できるようになろうとする 
  • 全力で挑戦する 
  • 互いに助け合おうとする 
  • できないところを習おうとする 
  • 教えようとする 
  • 丁寧に仕上げようとする 
  • 安全に気をつけようとする 
  • 「よさ」を認め合おうとする  
  • 相互観察による相互評価 
  • 学習カードによる自己評価 
4
自己のめざす課題を解決させるために練習し,発表させる。
  1. スムーズにできるようになったら別のコースに移る。 
  2. 発表するコースを練習する。 
  3. 班内で発表する。

ジェクタビリティ 
  • 技のつながりの表現(表現力) 
  • 自分に合ったコースの選択(判断力) 
  • 技を高める工夫(思考力)  
  • 個人カルテによる情意面の自己評価 
5
発展学習
自己のできる技の組み合わせにより,独創性のある連続技を創作し練習させる。
  1. 独創性のある連続技を考える
  2. 協力して練習する 
  • 自己の能力に適した課題を持って運動を行うことができる 
  • 足交差やジャンプにより技をつなげることができる 
  • この単元で学習した内容を組み入れて正確に行うことができる  
 
  • できるようになろうとする 
  • 全力で挑戦する 
  • 互いに助け合おうとする 
  • できないところを習おうとする 
  • 教えようとする 
  • 丁寧に仕上げようとする 
  • 安全に気をつけようとする 
  • 「よさ」を認め合おうとする 
  • 自分なりの連続技を表現しようとする 
  • 創作活動に意欲を持つ  
  • 相互観察による相互評価 
  • 学習カードによる自己評価 
6
創作した連続技を練習し発表させる。
  1. 協力して練習する
  2. 班内で発表する 
  3. 班代表を決める 
  4. 全員で代表の発表をみる  

ジェクタビリティ
  • 自分の技の生かし方の工夫(思考力) 
  • 性格で美的な身体的表現(表現力) 
  • 適切な評価と課題選択(判断力) 
  • 技の工夫と自分らしさの創造(創造力)  
  • 個人カルテによる情意面の自己評価 

 


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