研究紀要第87号 「基礎・基本の定義と個性の伸長に関する研究 第5年次」 -038/109page
【3】課題練習の過程でのエ夫
ア 個に応じた練習の場の設定
自分のめあてに向かって,苦手な技だけを練習 したり,連続技を練習する児童に対処できるよう に,図6のように各班ごとにロングマットと高さ の異なった跳び箱を配置した。それらに加え,か かえ込み跳びができない児童のための,ゴムひも を利用した練習台や,高さを恐がって開脚跳びが できない児童のための,ロールマットなどを準備 した。また,高い跳び箱に挑戦する児童のために ロイター板などを準備した。
そして,自分の課題を達成するために,どのような用具を必要とするのかを考えさせ,自由に使用できるようにさせた。
イ グループ編成の工夫
一般的には,単に技能面の向上をねらうならば, 同質のグループ編成にした方が効果があると思わ れる。しかし,お互いに「よさ」を生かし合い, 楽しさを味わわせるためには,異質グループ編成 の方が効果的であると考えられる。異質のグルー プ編成の中で,課題は異っても,協力し励まし合 って練習することで,児童は,練習方法や技の細 かいところまでお互いに教えたり補助し合ったり できるからである。
このことにより,自分の「よさ」を生かすとともに,技がますます確かなものとして定着するものと考えた。そこでソシオメトリック調査や担任教師の日常生活の観察を生かして,異質グループを編成した。