研究紀要第87号 「基礎・基本の定義と個性の伸長に関する研究 第5年次」 -041/109page
(2)「よさ」を生かす指導について
【1】単元指事計画のエ夫
児童一人一人の「よさ」を把握する調査の《自 分で考えて練習するのが好きか》で,好きと答え た児童が事前17人−事後32人(34人中)と増えて いる。また,5・6時間目の学習カードから,児 童が,さまざまな組み合わせや連続技を創作し, 工夫して練習したことがわかった。
したがって,一般的には主運動として取り,扱わ れているマット運動と跳び箱運動のような,同じ 領域の運動を組み合わせることは,単独の領域で 連続技を考え創作させるより,多くの技の組み合 わせが工夫でき,練習する意欲も高まったと考え る。以上のことから,今回の実践における主運動 と主運動の組み合わせは,児童の「よさ」を生か すうえで有効であった。
【2】課題設定の工夫
ア 単元全体を通しての課題挑戦
抽出児のK子は,1・2時間目に開脚跳びがで きなかったが,3・4時間目では,「ぜんぶのコ ースをやりたい」というめあてを持って,意欲的 に取り組み,開脚跳びが含まれる「ピンクコース」 を達成した。そして5時間目の連続技の創作では 開脚跳びを取り入れた。
この例のように,全体として以前に学習した技や協力して学習することが定着したため,単元全体を通して課題が達成されたことがわかった。
イ 興味・関心と意欲を高める課題
3・4時間目のコース学習では,5つのコース カードから,自分の能力に応じたコースを自由に 選択させたため,興味・関心や意欲が高まった。 更に,できた技には金色のシールをはったり,連 続技がスムーズにできたときは,カードに日付を 記入したことで意欲の高揚が図られた。