研究紀要第87号 「基礎・基本の定義と個性の伸長に関する研究 第5年次」 -044/109page
イ コースカードの活用
コース学習のとき,友達からその技ができたと 評価されると,金色のシールがはられる。このシー ルがはられることにより,友達から技に対する評 価が得られたことになる。そこで,技の定着に対 する自信が深まり,更に相互評価することで,よ り自分の「よさ」の意識化が図られた。
【4】教師からのコメント
教師は,児童の「よさ」を認める観点と技を定 着させる観点から,毎時間一人一人にコメントを 書いた。児童には,コメントが書かれた学習カー ドを読んで,自分の「よいところ」を意識し,も っと伸ばしていこうとする気持ちが表れた。
これらのことから,教師の助言や毎時間のコメントは,児童一人一人の「よさ」を意識化させるのに有効であったと考える。
(4)「よさ」を伸ばす指導について
【1】創作活動の場の設定
この単元のまとめとして,マット運動と跳び箱 運動を,達成度,興味・関心と意欲に応じた技を 選択し,組み合わせて,連続技として行う創作活 動を位置づけた。その結果,児童一人一人が「自 分だけの連続技をつくる」という意識が強くはた らき,意欲的な活動につながった。
例えばT男は,跳び箱運動の技からマット運動 の技へ,そしてまた跳び箱運動の技へというよう な流れを工夫していた。またS男は,マット運動 の技の後,跳び箱運動の技を2回続けて行うよう な工夫をしていた。このように,独創的な技の流 れや組み合わせを考え出し,意欲的に練習する児 童が多くみられた。