研究紀要第87号 「基礎・基本の定義と個性の伸長に関する研究 第5年次」 -046/109page

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 ここに,この単元を終えてからの,児童の感想 をあげて,研究のまとめとする。

うまくなっぞ!

〈参考文献〉 

【授業者の感想】 

福島市立平野小学校 教諭  泉  光

 「基礎・基本の定着と個性の伸長」に関す る研究の協力委員として,わずか1学期間で はあったが,体育科の検証授業をさせていた だく機会に恵まれた。

 本研究は,教科の基礎的・基本的な内容の定着のみならず,児童一人一人の「よさ」の伸長も相互に図っていくという,教育の本質にせまる素晴らしい研究であった。

 今までの自分の授業を振り返ってみると,いかにできるようにさせるかということに主眼がおかれ,児童は,あやつり人形のように指示にしたがっている場合が多かった。体育の不得意な児童にとって,この上ない苦痛を感じさせることになっていただろう。しかし,本実践が進むにしたがって,不得意な児童からも,「次はこの技ができるようになりたい」という,意欲的な感想が聞かれるようになってきた。それは,自分のできる技を組み合わせて自由に運動に取り組む中で,器械運動の楽しさを味わうことができたためであり,より高次な運動への意欲の喚起につながったのだろう。

 意欲の喚起という点では,どの児童にも「よさ」を意識させる学習カードによる自己評価や相互評価の場を設定したことの効果も大きい。自己中心的な児童も,お互いを認める心が育ち始めるとともに,友達の意見を素直に聞いたり,どうすればできるようにさせられるかということを真剣に考えたりするようになってきた。こういったことが,ジュクタビリティの刺激による相互伸長のひとつであることを改めて理解することができた。

 教職経験10年目を迎えながら,日々の忙し さに追われ,授業は授業,生徒指導は生徒指 導と,切り離した見方しかできなかった自分 にとって,授業の中にこそ存在感や成就感を 味わわせるなど,生徒指導の機能を高める必 要性を感じた。またセンターの先生方の諸調 査に基づく児童理解の深さや,授業の組立て のユニークさにも驚かされた。

 この研究の教訓を生かし,今後は一層精進したいと思う。

 


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