研究紀要第87号 「基礎・基本の定義と個性の伸長に関する研究 第5年次」 -049/109page

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運動だけで連続技を考え練習するより,二つを組 み合わせた方が,多彩な技の組み合わせが得られ, 児童の「よさ」を生かす場面がみられると考えた からであった。

 【2】教材・題材の選定や学習課題の設定のエ夫 

 領域,題材に応じて,教材に対する児童生徒の 具体的な見方や考え方が表れる資料を準備した。

 例えば,国語科においては,第2次実践で「よ さ」を生かすために,児童の自由な発想に盛づく 題材を設定させ,その題材に対する見方や考え方 を明確に持たようと考えた。そのため,題材の設 定は,実際に具体物(物語の想像力を刺激する具 体的なものや思い入れのあるもの)を持ち寄って 行った。児童の思いを生かす中で,教師の助言を 与えながら題材に対する児童の見方や考え方を明 確にさせ,想像力を高めるためのものであった。

 【3】学習形態の工夫 

 ○ 個別指導について 

 領域,題材に対する一人一人の達成状況や興味・ 関心により,個人差に応じた指導の在り方を工夫 した。

 例えば,算数科においては,第2次実践でコー ス別学習を設定した。小数の加法・減法計算の学 習場面で「小数村へようこそ!」という36枚綴り の練習問題を配布し,三つのコースを準備した。 パンダコースは,問題を自力でほとんど解決でき, 深化・発展問題へ取り組める児童のためのコース。 リスコースは,時々自分だけでは解決できなくな り先生や友達の援助を必要とするが,深化・発展 問題へも多少取り組める児童のためのコース。ラ イオンコースは先生や友達の援助を必要とし,基 礎的・基本的な内容の達成を目指す児童のための コース。この三つのコースを自由に選択さること により,児童の学習速度や達成度に応じた授業を 展開することができた。

 図画工作科においては,児童一人一人の製作活動に表現意図と見通しを持たせるために,「ひらめきカード」を活用させた。これには,物語によって感動したこと,描きたい情景とそのイメージ,材料や用具の工夫等を書かせた。このことにより,児童の考えにそった指導を進めることができた。

 ○ グループ学習について 

 お互いの「よさ」を生かし,更に「よさ」を意 識化させる段階にもつなぐ活動として,グループ 学習が効果的である。そこで,各教科ごとに明確 な意図を持ってグループを編成し実践した。

 例えば,国語科の表現領域(作文)の実践においては,児童一人一人が設定した題材と「よさ」の把握での資料をもとにグループ編成を行った。これは,同じような傾向の題材を設定した児童どうしでも,それぞれの見方や考え方が多様であること,表現したい内容や方法の違いがあることなどを気づかせることによって,一人一人の個が持つ「よさ」を意識化させることをねらったものであった。

 社会科においては,事前の調査をもとに,演繹的な学習の仕方と帰納的な学習の仕方をとる,それぞれのグループに対応した指導過程を組織した。演繹的なグループは,課題に対しての予想を練らせることでより焦点づけた観察・調査ができるようにし,帰納的なグループは,まず観察・調査を先行させ,多くの情報を集め,そこから類推させたり,対比させたりして結論を導き出すことができるようにした。

 英語科の言語材料及び教材内容の定着を図る過程においては,生徒一人一人の持っ表現特性に応じた学習を取り入れた。つまり,「聞く・話す」,「読む」,「書く」の中から生徒の得意な方法を選択して学習できる場面を設定した。また,単元の最後に,総合的な言語活動の場を設定した。「部活動」,「家族」,「友達」,「学習」の四つのテーマを示し,生徒の興味・関心に応じて選択させ,同じテーマごとにグループ分けをし,対話文を作成させた。

 ○ ティームティーチング(T−T)について 

 英語科の実践においては,T−Tを取り入れた。 生徒一人一人の「よさ」を的確にとらえることと, 指導の個別化を図ることにより,基礎的・基本的 な内容の定着を目指したものであった。

 生徒一人一人の持つ「よさ」を表現特性の面か


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