研究紀要第87号 「基礎・基本の定義と個性の伸長に関する研究 第5年次」 -054/109page
その結果,「よさ」や「その子らしさ」をみる 資料を教師側の資料とするだけでなく,児童自身 が意識していく段階で活用した。また,児童相互 が認め合い,「よさ」や「その子らしさ」を学習 に生かしていく場を保障することの大切さが再認 識できた。
今まで以上に中・長期的展望に立って実践を行ったことは,「よさ」や「その子らしさ」をきめ細かく,深く理解していくのに役立った。一方,道徳の時間の実践を行ったことは,各教科の「よさ」のとらえ方を更に幅広く,多面的にみつめ直すのに有効であった。
(5)第5年次(平成3年度)
本年度の実践では,技能教科の特性を踏まえ,把握した「よさ」が一人一人の意識化に有効につながる手だてを考え,「よさ」を生かす段階で新たな工夫を試み実践した。
その結果,自分の力に応じた課題を設定し,ゆとりを持ってしかもお互いの「よさ」を認め合える学習活動が展開されたため,課題解決への意欲が高まるとともに,基礎的・基本的な内容の定着が図られ,「よさ」を伸ばそうという姿が表れた。
本研究では,各教科と道徳の5年間の実践研究 を通して,個性を伸ばすために,基礎・基本の定 着がいかに重要であるか検証できた。また,基礎 的・基本的な内容の定着を目指す過程で,把握し た児童生徒一人一人の「よさ」や「その子らしさ」 を生かす場の設定が不可欠であるということが実 証された。
今後は,新学習指導要領の趣旨に基づいた新しい学力観に立ち,児童生徒一人一人の「よさ」や「その子らしさ」を生かした評価の在り方にも目を向けて研究を発展させていきたい。
いよいよ平成4年4月より,新学習指導要領が 小学校で完全実施される。基礎的・基本的な内容 を児童生徒一人一人に確実に身につけさせ,個性 を生かす教育の推進のために,本研究が先生方の 授業実践の中で活用していただければ幸いである。
最後に,過去5年間本研究に御協力いただいた 研究協力校と研究協力委員の先生方に感謝の意を 表します。
〈研究協力校及び研究協力委員〉 ※印は授業者
◇ 第2年次
○ 福島市立福島第二小学校 渡部 節 ※佐藤吉郎
○ 川俣町立川俣南小学校 本多淳一郎 ※橋本利浩 ※酒井智子
○ 福島市立吾妻中学校 柳谷幸雄 ※半杭千歩◇ 第3年次
○ 福島市立福島第二小学校 砂山貞雄 ※佐藤吉郎
○ 福島市立吾妻中学校 ※佐々木慶子 ※佐久間民子◇ 第4年次
○ 福島市立鎌田小学校 ※米山フサイ 石原俊一
○ 国見町立藤田小学校 市川多門 ※佐藤善夫◇ 第5年次
○ 福島市立平野小学校 酒井シゲ子 ※泉 光
〈プロジェクト研究メンバー〉
佐藤英昭
辺見広一
高羽博樹
高根勇次
白岩二朗野中 定
赤塚公生
佐藤吉則
大友 誠
寺木誠伸星 和久
遠藤 光
荒井一成
小林 正