研究紀要第88号 「授業におけるコンピュータの効果的な活用に関する研究 第2年次」 -058/109page

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<研究実践>

II 小学校における研究実践

1.研究副主題との関連

 主体的な学習活動を高めるための指導を実現するには,児童一人一人の学力 適性等を十分に把握し,学習内容を一人一人に適合させるように組み立てる必要がある。そこで,コンピュータの持つ機能を有効に活用して,児童の実態に応じたソフトウェアの活用を図っていけば,児童に学習の喜びを与え,主体的な学習活動が高められると考えた。

2.ソフトウェア開発のねらい

(1)児童一人一人のとらえ方と対応

 児童一人一人の生育環境が異なっており,学習到達度,学習スタイル,興味・関心などの個人差がある。これらの児童の個人差をレディネステストなどの事前調査により認知面,情意面の二面からとらえ,ソフトウェアの作成に当たっては,学習内容の量や質,ヒントの程度,コース選択等の配慮をした。

(2)指導計画におけるソフトウェアの位置づけ

 指導計画を以下に述べるように3つの段階に分け,それぞれの段階におけるソフトウェアの利用法を明確にするとともに,主体的な学習活動を促す3要素を単元の段階ごとに重点化した。

[1]「導入」段階

 この段階では,問題場面のイメージ化を図り,児童の興味や知的好奇心をどうゆさぶっていくかを工夫しなければならない。

 さらに,それぞれのタイプに主体的な学習活動を高めるための要素を図2−2のように位置づけ,ソフトウェアを作成した。

[2]「確かめる」段階

 この段階は,先行経験をもとに既有知識を総動員して問題解決の方向性を決め,自分の論理を組み立てて検証する場である。コンピュータによるヒントの提示や教師の助言などにより,発想を広げたり,転換させたりして,個人差にも対応できるようにする。この場合,全員がコンピュータを利用する場合もあれば,必要な児童だけが使用することもあり,解決の見通しが立てられず前へ進めない児童に対しては,データベース型ソフトウェアでヒントやアイディアを提示して利用させるようにし,学習意欲と情報活用能力を高めるようにする。

[3]「まとめる」段階

 この段階は,観察,実験の結果をもとに,法則性を見い出したり,定着を図ったりする場である。主体的な学習活動がより顕著に現れる場でもあり,学習到達度,学習速度などの個人差に対応する場である。単元で使用したソフトウェアを通して学習させ,達成感・成就感の向上を図っていく。

(3)児童の実態に応じたソフトウェアの開発

 コンピュータを児童の考えるための道具として位置づけ,学習意欲を高められるようにする。また,ソフトウェアは教科や単元の特性を生かしたものを3本作成し,本研究単元で使用した。このとき次のような留意点を設けた。

○目標分析を行い,指導内容を明確にする。

○学習活動における位置づけを明確にする。

○学習意欲を喚起し,持続させる工夫をする。

○児童の個人差に応じられる内容に構成する。

○教科の特性を配慮する。


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