研究紀要第88号 「授業におけるコンピュータの効果的な活用に関する研究 第2年次」 -064/109page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

また,CやDタイプの児童の達成感・成就感を高めるには,もう少しソフトウェアの中で,一人一人の児童に対応したKR情報の量と工夫が必要であったと考える。

(2)ソフトウェア活用についての考察

チュートリアル型(対話型)のコースウェアを単元導入時の学習で活用した。既習内容を復習しながら,観察,実験の仕方を繰り返し提示することで,本単元での観察,実験の視点をとらえさせることができたと考えられる。
単元の展開の段階では,データベース(情報提示機能)を中心としたソフトウェアの使用により,他の教育機器以上に学習内容を焦点化することができ,児童の興味・関心を高める効果があったと考えられる。
データベース型のソフトウェアは,児童の知りたいことをコンピュータに問い合わせることにより,児童の思考を援助することができ,観察・実験への積極的な取り組みをさせることができたと考えられる。

(3)児童の感想についての考察

 図2−7に示すのが,AとCタイプのある児童の単元導入時と単元終了時の感想である。これをみると,自分が必要とする情報をコンピュータから選択し,問題を解決していった過程や学習後の満足感が読み取れる。

 また,本単元で使用したソフトウェアを単元のまとめの段階で,もう一度活用することも達成感・成就感を高めることにつながると考える。

<A児の感想>

○単元導入時
図II−7 児童の感想(単元導入時)

○単元終了時
図II−7 児童の感想(単元終了時))

<C児の感想>

○単元導入時
図II−7 児童の感想(単元導入時)

○単元終了時
図II−7 児童の感想(単元終了時)
図II−7 児童の感想

5.まとめ

[1] コンピュータは,必要な情報だけを児童の理解に応じて繰り返し提示できる。問題場面を必要に応じて提示することにより,児童の興味・関心を高め,課題を焦点化していくのに効果があり,単元導入時には提示を中心、としたソフトウェアが有効であった。
[2] 単元の展開の段階で活用したデータベースのソフトウェアは,児童が必要に応じてコンピュータから情報を引き出すことができ,児童一人一人の学習意欲や達成感・成就感を高める上で効果的であった。
[3] 児童の実態を4つのタイプに分け,タイプに応じたソフトウェアを作成しコンピュータを活用した授業を行った。A・Bタイプは,主体的な学習活動を促す3要素のうち,全てにおいて効果がみられ,コンピュータの活用が有効であった。C・Dタイプは,情報活用能力の向上には効果があったが,学習意欲,達成感・成就感には向上がみられなかった。
[4] 主体的な学習活動を促すために,コンピュータを活用することは,基礎学力の身についている児童にとっては有効である。しかし,基礎学力が十分身についていない児童にとっては,コンピュータの活用は,主体的な学習活動の要素をすべて満たし,高めるものではなく,より基礎的なものを含めたソフトウェアの開発や教師の指導援助の工夫がさらに必要である。

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。