研究紀要第88号 「授業におけるコンピュータの効果的な活用に関する研究 第2年次」 -065/109page

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III 中学校における研究実践

1.研究副主題との関連

 中学校では,タイプに応じたいくつかのソウトウェアを作成するのではなく,生徒が自由に選択することによってタイプ差に対応できるメニュー形式のソフトウェアを作成して研究を推進した。

2.ソフトウェア開発のねらい

 ソフトウェアを単元全体を通して活用させることにより,主体的な学習活動を高めるようにする。メニュー形式にして学習内容に応じたり,生徒の実態に応じることができるようにする。まず,単元内容の学習段階では,学習のツールとして活用させ,内容の定着を図りながら,各タイプの生徒の学習意欲の向上,達成感・成就感の高揚を図るようにする。また,まとめの段階ではデータベース的に活用させ,生徒は必要に応じて既習内容の復習をするなど,問題解決のためのツールとしてコンピュータを活用する。まとめの段階は総合的に主体的な学習活動を高める場とし,課題学習等で問題を解決することを通して情報活用能力や達成感・成就感の育成を図るようにする。

<単元全体を通して活用できるソフトウェア>
図III−1 ソフトウェア開発のねらい
図III−1 ソフトウェア開発のねらい

3.研究実践の概要

(1)研究単元の設定

 コンピュータの機能を生かし,効果的に活用できる領域として「図形領域」を選定した。コンピュータ活用は,初期の段階が大切であるという観点から,研究単元を中学校1年「平面図形」とした。この単元内容に沿ったソフトウェアを作成して研究を推進した。

(2)実態調査の実施

 認知面は,小学校の内容から調査し「平面図形」の基礎事項の定着度をみ,情意面の調査では「図形」に関する興味・関心をみる。それぞれの調査結果を基に,クラスの生徒をA〜Dの4つのタイプに分けた。

(3)ソフトウェア開発の概要

[1] 「平面図形」でのソフトウェア作成

 「平面図形」では,図形作成機能やシミュレーション機能を生かせば,コンピュータを効果的に活用できる。そこで,コースウェアを組むのではなく,図形の用語の意味や作図の方法を画面に表現したり,概念形成の援助をするような提示型やシミュレーション型のソフトウェアを作成した。

 具体的には,単元の教材に応じて,教科書の図や作図方法を順に提示したり,図形の移動をシミュレーションさせるショートプログラムを作成し,これらを一括してメニュー形式にした。メニューから選択させ,単元の学習内容に合わせた活用をさせるとともに,まとめの段階では問題解決のための資料として活用させるようにした。

[2] 単元におけるコンピュータ活用計画

 「平面図形」の指導においては,作図や図形の移動など,操作的・経験的な学習を通して図形の性質を直感的に理解できるようにし,図形についての興味・関心を引き起こすようにすることが大切である。このことから,グラフィックやシミュレーションなどのコンピュータの機能を生かせば図形領域の概念形成に有効であると思われる。

 一方,コンパスや定規を操作する技能や図形の直感・概念の拡張などはコンピュータの画面操作だけでは十分でない部分もあり,指導計画の中でのコンピュータ活用の明確な位置づけが必要になる。このことから,他の教具との関連を図り,多様な学習活動を補完するものとしてコンピュータを活用するようにした(表2−1参照)。


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