研究紀要第91号 「一人一人の個性を生かす評価の在り方に関する研究 第1年次」 -035/117page
情意面の評価については全体の76.6%が「重要である」と答えており,校種別に見ても,はぼ同じ割合で選択されていた。
「どちらともいえない」には,「客観的な評価は困難である」「児童生徒が単元や教材により変化する」等という回答も見られた。イ 情意面の評価の目的
〔設問6〕あなたは,どのような目的で情意面の評価を行っていますか。(複数回答) 情意面の評価の目的を「児童生徒の個性や特性を発見するため」とする回答が最も多かった。次いで「指導効果を高めるため」「学習状況を把握するため」の順に選択されている。
目的の一つにあげられている「指導要録や通知表の記入のため」を見ると校種別回答者数に大分差があり,小学校では選択者数が多かったが高等学校では少なかった。これは,高等学校においては,指導要録と通知表に情意面の記入欄がないためであると思われる。
2) 実践状況
ア 情意面の目標設定の割合
〔設問7〕あなたは,単元(題材)あるいは1単位時間の指導目標の中に情意面の目標を設定していますか。 情意面の目標を「1学位時間で」設定していることと「単元で」設定していることがはぼ同率で見られた。それらの回答の多くは「ときどき設定」を選択しており,その中には研究授業等で情意面の目標設定をする場合も含まれていると考えられる。
イ 情意面の評価の計画的位置付け
〔設問8〕あなたは,情意面の評価を指導の中に計画的に位置付けることがありますか。 情意面の評価を計画的に位置付けることについては,評価全体の計画的な実施状況〔設問3〕と同じような調査結果が見られた。「ときどきある」が過半数を占めており,次いで「あまりない」が約4分の1を占めている。「よくある」は最も少ない回答結果であった。
このことは,情意面の評価の重要性について質問した〔設問5〕の回答と併せて考えると,必要性を感じながらも計画的な位置付けはあまり多くはなされていないものと考えられる。
ウ 情意面の評価の実施頻度
〔設問9〕(設問8で,「よくある」「ときときある」と回答した人のみ)あなたは,どの程度の頻度で情意面の評価を行っていますか。 「単元(題材)ごと」に情意面の評価をする回答が最も多かった。これは「学期ごと」や「1学位時間ごと」に行うよりも,単元としての区切りで情意面の評価をする方が,目標設定や評価の機会設定,評価に関する教師の負担等を考慮すると自然で取り組みやすいからであると思われる。