研究紀要第91号 「一人一人の個性を生かす評価の在り方に関する研究 第1年次」 -036/117page

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3 評価規準の設定

  ア 情意面の評価規準(観点)の明確化
〔設問10〕あなたは単元(題材)や1単位時間の指導の中に情意面の評価規準(観点)を明確に決めていますか。

情意面の評価規準(観点)の明確化
情意面の評価規準(観点)の明確化 円グラフ

 全体的な傾向は情意面の評価規準は「明確には決めていない」が81.7%と多く,「明確に決めている」は13.4%と少なかった。〔設問5〕に見られるように「情意面の評価をすること」に必要性を感じながらも,実際に評価規準を明確にすることは難しいと考えられる。

 情意面の評価規準(観点)の明確化

情意面の評価規準(観点)の明確化

 教科別の評価規準設定の傾向を見てみると,「明確に決めている」は「6教科」(国語,社会,算数〈数学〉,理科,生活,英語)より,「実技教科」(音楽,図画工作く美術〉,技術・家庭,体育〈保健体育〉)に多かった。実技教科は教科の特性として情意面の内容と密接に関連して指導するところもあり,指導計画中に情意面の評価規準設定の必要性が高いのではないかと思われる。

 イ 情意面の評価規準を決定する際の手続き

〔設問11〕(設問10で「明確に決めている人」のみ)A.情意面の評価規準を明確に決めている場合はどのようにして決めましたか。B.あなたが情意面の評価規準を設定する場合た,特に難しいと感じた点がありましたらお書きください。

情意面の評価規準を設定する際の手続き

情意面の評価規準を設定する際の手続き

 全体的な傾向を見ると,「自分の経験や考えをもとにして」評価規準を設定しているとする回答が,半数以上あった。現在のところ,学校全体で評価規準について話し合う機会を持っことは,あまり多くないと考えられる。

〔情意面の評価規準設定での困難点〕
 校種別の主な回答内容は.次のとおりである。
 小学校においては,「児童の変容については長期間の観察が必要であるので困難」と「児童の中で個人差があり,1単位時間の中では困難」(小・中学校共通)とする意見が見られた。

 中学校においては,「目立たない生徒の評価が困難」「内面的なものはとらえがたい」「生徒の発達段階に応じた行動目標の設定が困難」というような意見が見られた。

 高等学校においては,「男女間の相違」「生徒の納得する評価の回数(客観化できる回数)」を少数だが困難点としてあげていた。
 情意面の評価規準設定については,「教師側の主観が入り,客観的に評価することは難しい」という回答がかなり多く見られた。また,「児童生徒の内面的なものをどのような評価方法で,どのような評価項目,評価規準で測定すればよいのか難しい」などという回答も見られた。

 ウ 情意面の評価規準設定の際の問題点

〔設問12〕職員会や教科会などで情意面の評価規準を設定する場合に,問題になった点がありましたらお書きください。

 情意面の評価規準設定の際の問題点としては,「客観的,統一的な規準をどう設定するか」「評定にどの程度入れるか」「自己評価をどの程度信頼することができるか」等があげられた。
 情意面の評価の重要性については十分承知していながらも,現実には校内で統一的な評価の規準を設定することは,教科の特性や児童生徒の発達段階に差があり非常に難しいことがうかがわれる。


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