研究紀要第91号 「一人一人の個性を生かす評価の在り方に関する研究 第1年次」 -037/117page
エ 評価観点の具体化の程度
〔設問13〕(小学校と中学校の先生のみ)あなたが実際に情意面(関心・意欲・態度)の評価をする場合の観点は,文部省や県教委による指導要録の記載例程度で行っていますか。あるいはより具体的なものを使用して行っていますか。 情意面の評価観点の具体化の程度
全体的傾向としては,「例示されたものをそのまま使っている」と「例示されたものを基本として,より具体的に工夫している」は,ほぼ同じ割合で選択されている。小・中学校ともに,それぞれの項目ではぼ同じ回答結果が出ている。
4 評価の客観性
〔設問14〕A.情意面の評価の客観性についてあなたはどう思いますか。
B.このことについて自由Iこ御意見をお書きください。具体的な手だてや実技していることでも結構です。情意面の評価の客観性
従来から情意面の評価については「主観的になりがちである」と言われてきているが,本調査結果においても63.1%の回答が見られた。一方,「方法によっては客観的に評価できる」という回答も30.7%見られた。
情意面の評価の客観性(校種別)
校種別に見てみると,小学校が中・高等学校よりも「主戦的になりがち」という回答がやや多かった。
また,校種別の回答の中には次のようなことが客観的に評価を行うための具体的な手だてとして見られた。
小学校においては,「継続性のある指導をすることにより,日常の学習態鹿をメモや記録しておき,それを客観性のある数字にしていくこと」があげられていた。中学校においては,情意面の評価は主観的になりがちであるとしながらも「生徒の自己評価を教師の評価と組み合わせること」によって少しでも客観性を加味していこうという回答が見られた。教師と生徒の双方が納得することは困難という意見も併せて述べられている。
高等学校においては,客観的に生徒を見る一つの方法として,授業に臨むための準備物(教科書,ノート等)や提出物の提出状況を評価の一つに加えていることが,他と違うこととしてあげられる。生徒の内面を推し量ることは容易ではないため,生徒の意欲が実際に行動化したものから評価しようとしているものと考えられる。情意面の評価の客観牲(教科別)
教科別傾向は.「6教科」と「実技教科」はともにほぼ同じ割合であった。評価規準は〔設問10〕に見られるように実技教科の方が明確に決めていたが,情意面の客観性についての意識は,双方とも同じ程度であると考えられる。
情意面評価の客観性(年代別)