研究紀要第92号 「児童生徒の創造性を高めるための教材開発 第1年次」 -066/117page

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 卵は,適度な湿り気を与えておくと約2週間でふ化する。

フタホシコオロギ

(3)フタホシコオロギ観察の視点

 1) 脱皮の観察

 不完全変態の昆虫は,脱皮を繰り返して成虫になる。フタホシコオロギは,いろいろな齢の幼虫を同時に飼うことができるので,齢によって形が変化しない不完全変態の過程を一目で確かめることができる。また,動作が緩慢なので脱皮の様子もじっくりと観察できる。脱皮したばかりの個体は体が白く,徐々に色づいていくようすが見られる。1齢〜8齢までに38〜45日,9齢で成虫になるので,約2か月で1世代を観察することができる。

脱皮の観察

 2) 産卵の観察(ピートモスを利用して)

 コオロギ類は警戒心が強く,なかなか産卵の様子を観察できない。しかし,このフタホシコオロギは湿った砂等に児童の目の前で卵をたくさん生みつける。さらに産卵回数も多いので,観察も容易である。そこで,ピートモスを使うと,雌が産卵管をさし込み,産卵するようすをいろいろな角度から検察することができる。ピートモスは保湿性に優れ,卵を乾燥から守る働きをする。

産卵の観察(ピートモスを利用して)

  またピートモスを割って見ると薄黄色の卵が整然と並んでいるようすが観察できる。

ピートモスを割って観察

 3) ふ化の観察

 フタホシコオロギの卵は,産卵されて約2週間でふ化するので,児童にふ化のようすを観察させることによって,生命誕生の感動を体験させることができる。

 観察容器としてよいのは3.5インチのフロッピィケースで,中に湿らせたろ紙を敷いて,卵を20〜30個入れ,ふたを閉めておく。こうしておくとほとんど水を与えなくとも卵は死ぬことはない。ふ化した幼虫をそのままの状態で観察でき,1〜2齢のうちは,フロッピィケースの中で飼うことができる。このようにすれば,児童は自分の好きな所でふ化させ,飼育することができる。

ふ化の観察

身近なものを利用した観察容器としては,フロッ


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