研究紀要第92号 「児童生徒の創造性を高めるための教材開発 第1年次」 -067/117page
ピィケースの他にカセットケースやフィルムケースなども使用できる。
4) 冬季間も飼育活動を継続するとき
フタホシコオロギは寒さに弱く,5℃以下になると卵も死滅してしまう。そこで冬季間は,40〜60Wの白熱電球やヒヨコ球で10〜20℃に保温する必要がある。継続飼育すると真冬でも鳴き声を聞くことができる。冬季間も産卵用の土にピートモスを利用すると,白熱電球による乾燥から卵を守ることができる。
4 指導例と留意点
(1) 卵から幼虫,成虫と観察期間が約2カ月にわたるので,児童に飼育容器や観察記録のしかたを工夫させるなどして,飼育活動に対する興味や関心を持続させるようにする。
(2) 産卵された卵の数を数えたり,自分の卵の世話をしたりして,ふ化したときの喜びを感じさせたい。さらに寿命の尽きた成虫の始末などを学習過程に位置付けて,生命を尊重する態度の育成を図る。
(3) 脱皮や交尾,産卵のようすを絵や写真で記録させ,その結果を「コオロギ新聞」等で家庭に知らせるなどの活動を適して,児童の学習活動を紹介する機会にすることも考えられる。
(4) フタホシコオロギの飼育だけでなく,身近に生息している不完全変態と完全変態をする昆虫を2〜3種類飼育することにより,種類による食べ物の違い,生活史の違いを気付かせる。
A−2ポーチュラカ類の開花運動の観察
1単元名「生き物の1日と人のからだ」(第4学年) 小単元「草花は1日の間でようすがかわるか」
2 ねらい
この単元では,植物の運動や成長は,天気や時刻などによって違いがあることをとらえさせることがねらいである。教科書では,身近なタンポポやカタバミなどを植物教材として用いているが,教室に持ち込んで観察すると光量不足等で開花運動が十分に観察できないことがある。そこで,園芸植物のポーチュラカ類(マツバボタンや花スベリヒユ)の鉢植えを用いれば,教室やベランダなどで容易に1日の運動を観察することができる。これらの植物は栽培が容易なので,児童に栽培活動を通して,興味・関心を持たせ,課題の解決に意欲的に取り組ませることをねらった。
3 教材の概要
(1) 特徴
マツバボタンと花スベリヒユは,スベリヒユ科の植物で日照の変化に敏感に反応するので,開花運動を観察しやすい。また,栽培が簡単であり,簡単にさし木で殖やすことができるので,児童の関心を高めることができる植物教材として価値がある。
(2) 1日の開花運動
1)マツバボタン