研究紀要第92号 「児童生徒の創造性を高めるための教材開発 第1年次」 -069/117page
2) ふたの上部から2本のカテラン針(長さ70mm)を差し込み,エポシキ系の接着剤で固定する。水漏れしないように,ふたと差し込んだ針のすき間に接着剤を流し込み固定する。(写真下)
(3) 実験方法
2) インジゴカーミンをハイドロサルファイト溶液で還元してうすい黄色の状態(インジゴホワイト)にする。 3) びんの中に広葉樹の葉を入れて,針の付いたふたを閉める。 4) 下の写真のように一方の針にハイドロサルファイト溶液が入っている注射器を取り付け,そこから溶液を注入して実験が可能なインジゴホワイトの薄黄色の状態にする。この時びんの中の溶液は,一方のカテラン針よりオーバーフローして,空気中の酸素と遮断される。 5) 日光に当て,観察する。
1) びんにインジゴカーミン溶液を入れる。(4) 観察
光を当てると(30秒程度)主に葉の裏から,ブルーのもやのようなものが立ち上っていくのが観察される。この色の変化は,葉から放出された酸素により,インジゴホワイトが酸化されるためにおこる。
このインジゴカーミン法は,光合成による酸素の発生を美しい溶液の色の変化で見ることができるので,児童に植物の葉が酸素を出していること を視覚的に確認させることができる。
4 指導例と留意点
(1) 光合成の導入で事象提示に利用したり,まとめの段階で活用したりすることが考えられる。
(2) 酸素により溶液がブルーに変化することを市販の500mlの酸素ボンベ等を使って,事前に確認させておくことが大切である。
(3)「人が生きていくのに必要な酸素はどこから供給されているのだろう。」という発問をして,児童に考えさせたり,話し合わせたりする学習活動を設定する。そして,インジゴカーミン法で酸素が葉から出ていく様子を視覚的に観察させ,人間生活と植物の関係に気付かせる。環境教育の一つとして利用できる。
(4)身近な植物の葉(サクラ,ツバキ等)を使用することで,身近なところで営まれている生命現象に驚きを持たせることができる。
(5) 葉の裏面から多くの酸素が発生することを観察させることで,既習事項の「気孔」の存在を再確認させることができる。
(6) BTB溶液を利用して,植物の呼吸による二酸化炭素の放出を確認する実験と対照させると光合成と呼吸の関係を体験的に理解させることができる。
(7) 気体検知管(酸素)を備えている学校では,併用すると一層効果的である。