研究紀要第92号 「児童生徒の創造性を高めるための教材開発 第1年次」 -080/117page

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5 開発した教材

(1) パソコンを活用した家庭生活自己診断

1題材名 わたしたちと家庭生活
2 ねらい
 本題材のねらいは,具体的な事例や調査などの体験的な活動を通して,生徒に家庭生活及び家族関係の大切さを理解させることである。生徒は毎日の家庭生活で自分の役割, 家庭生活の意義や価値を意識して行動しているわけではない。それに気付かせるには,生徒一人一人に自分の生活を見っめさせて,意識を高める必要がある。そのため,調査及びデータ処理にパソコンを活用して効率的に行える調査活動の方法を開発した。これに用いるソフトウェアを「家庭生活自己診断ソフトウェア」と名付けた。

 この調査活動を通して自分と家族・家庭生活とのかかわりを認識させ,これから学習する「家庭の仕事」の自己課題として位置付ければ, 目的意識を持って, 主体性に物事に対処していこうとする態度が養われるものと思われる。

 ここでは,自己診断調査を通して生活を見直し,家庭生活をよりよくしようとする意欲を高めることで創造性の育成を図る。

3 教材の概要
 (1) 特徴
 家庭生活全般についての生徒一人一人に対応する,即時的,具体的な評価資料となり,自己認識を深めさせることができる。また,生徒は調査括動を通して『家庭生活』領域の概要が把握できる。

 (2)ソフトウェアの内容
 自己診断内容は図4のように「家族の生活」「家庭の経済」「衣生活」「食生活」「庄生活」「地域社会との関係」と6項目に分け,学習目標に沿った質問肢とした。これら6項目の診断結果は点数化され,コメント及びレーダーチャートで提示される。(図1参冊)

 作成はBASIC言語でプログラミングした。操作はテンキーとリターンキーだけとし,画面は見やすく,生徒の興味を引き付けるような構成とした。

図1家庭生活自己診断の結果表示

    図1家庭生活自己診断の結果表示

4 指導例及び留意点

 本領域学習の導入として位置付ける。事前と事後の自己評価としても活用できる。LANが組まれている場合は,学級のデータ集計とグラフ表示が同時にでき,生徒の家庭生活の実態を把握する資料として活用できる。

表4 家庭生活自己診断内容

 次の24項目の内容に,はい,いいえ で答えて下さい。

「家族の生活」
1.あなたは,困ったことが起きた場合.家族で話し合うようにしていますか?
2,あなたは,一日の生活時間をバランスよく配分する工夫をしていますか?
3.あなたは,家庭内の仕事を分担したり助け合ったりして,日ごろから協力し ていますか?
4.あなたは,家族や家庭生活の大切さを十分わかっていますか?

「家庭の経済」
1.あなたは,商品を選ぶ時に表示やマークなどを見るようにしていますか?
2.あなたは,おこづかいをもらったらすぐに使ってしまうほうですか?
3.あなたは,自分で購入したものを十分活用していますか?
4.あなたは,商品の購入時に,トラブルが起きた場合の解決の仕方を説明できますか?

「衣生産」
1.あなたは,通学服が汚れていてもそのまま着ているほうですか?
2.あなたは,手持ちの衣類の組合せを工夫して着用していますか?
3.あなたは,必要な衣類をすぐ出して着られるように,きちんと整理・管理していますか?
4,あなたは,不用になった衣類の活用の仕方を説明できますか?

「食生活」
1.あなたの家では,家族そろって食事をとるように心がけていますか?
2.あなたは,家にある材料で,家族の食事の献立を工夫できますか?
3,あなたは,能率よく簡単な食事をつくれますか?
4.あなたは,食事づくりの手順を説明できますか?

「住生活」
1.あなたは,家の中がちらかっていても気にならないほうですか?
2,あなたは,部屋を飾ったり模様替えなどの室内装飾を工夫していますか?
3.あなたは,年何回か定期的な大掃除の計画をたてていますか?
4.あなたは,掃除に使う用具や用剤をいうことができますか?

「地域社会との関係」
1,あなたは,近所の人にオアシス運動を心かけていますか?
2.あなたは,省エネや節水を考えた生活の工夫をしていますか?
3.あなたは,地域の運動会や行事活動などに積極的に参加していますか?
4.あなたは,家庭から出るゴミのゆくえを説明できますか?


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