研究紀要第92号 「児童生徒の創造性を高めるための教材開発 第1年次」 -081/117page
<2> 小物の製作
1 題材名 室内の整備と美化に役立つ小物の製作
2 ねらい
本題材のねらいは,家族が共通に使う室内の整備と美化に役立っ小物の製作と,その活用に取り組む体験的な活動を通して,快適な住空間の創意工夫ができるようにすることである。小物の製作においては,生徒の個性を生かした適切な教材の選択が必要である。しかし,アンケート調査から,生徒の室内装飾への関心は高いが,教員はどんな教材を準備して指導したらよいか,迷っている状況にあることがわかった。
そこで,これらに応えるために,生徒の興味・関心や能力,多様な生活様式などに配慮して複数の教材を開発した。生徒が個々に自由に選択すれば,一人一人が意欲をもって主体的に製作に取り組むことができるものと考える。
ここでは,体験的な活動である小物の製作とその活用を適して感性や創意工夫,技能を高めることで創造性の育成を図る。
3 教材の概要
(1) 特徴
ここで開発した教材の特徴は,次のようなものである。
○ 計画から仕上げまで約6時間でできる。
○ デザイン,色彩感覚等生徒の個性が生かせる。
○ 家庭の実態に応じて創意工夫ができる。
○ 身近な材料や地域素材,不用品の活用ができる。
○ 作品は実生活に生かされ その活用を適して家族とのふれ合いが図れる。(2) 教材とその作り方(図2参照)
4 指導上の留意点
○ 指導に当たっては,生徒の個人差,用具などに十分配慮する。なお,小物の製作の手引きやワークシートなど資料を用意する。
○ 製作時間は生徒の実態に応じて弾力性をもたせる。
○ 作品は家庭でどのように活用されているか,反省・評価とともに実践報告をさせる。図2 教材とその作り方
教材 コ ー ス タ ー づ く り(6時間) 材料 会津木綿:表布(2枚分)20×10(単位皿)
シーチング:真布(2枚分)20×10
接着芯 (2枚分)18×9 木綿糸手 順
及
び
作
り
方
1.製作計画を立てる。
教材の選択理由とその目的を明確にする。
材料とその入手方法を考える。
製作の手順を考える。
作業の方法を考える。
2.図案を構想し,用紙に書く。
3.布地を裁ち,裏地に図案を写す。4.刺し始める。
刺し始め,糸の運び方(運針),針目 重ね
刺しなどを知る。糸こきを十分にする。
5.刺し終えたら糸の始末をし,表側から軽く
アイロンをする。裏側に接着芯をはる。
6.裏地と裏地を縫い合わせる。
まつり縫いを知る。
7.作品を鑑賞する。
相互評価及び自己評価を行い,家庭実践計
画を立てる。
製作上の留意点 ・運針の練習をしてから取り組ませる。
・色糸や裏地の配色を工夫させる。
・刺し方の針目は,表目をやや大きくして
模様をはっきり刺せるようにする。