平成5年度 研究紀要 Vol.23 -122/162page
1 研究のまとめ
(1)児童の活動意欲の喚起
生活科においては、児童が意欲的に、自分からやってみようとする気持ちを起こさせること、いわゆる活動のきっかけ作りが、その後の展開を大きく左右することが分かった。
そのためには、単元や活動の導入部分で、児童に「おもしろそうだな」「ふしぎだな」「なんだろう」などと思わせ、好奇心をかきたてる手だてを工夫することである。
また、学習活動に対する興味・関心や経験をとらえ、それが十分満足するような活動を展開していくことが大切である。
(2)児童の活動が連続し、発展するための援助
児童の興味・関心をとらえ、経験が生きるような活動を工夫するとともに、児童同士のかかわり合いの中で、活動をさらに広げたり、深めたりすすることが大切になる。
そのためには、つまずきを的確に把握し、援助することぱかりでなく、一人一人のよさを見取り、承認や賞賛などで学級全員に広げることにより、児童に自信とやる気を育てていくことであろう。
児童が初めて道具を使うときや危険が十分予想されるとき、あるいは活動を深めさせたいときなどは、教師の指導が必要であると思われる。
(3)児童のよさの見取り
教師は、一つの活動においても、できるだけ多くの児童のよさを見取るよう努力するが、全部の児童をとらえることは不可能である。それを補うためには、児童の自己評価を活用することも一つの方法であると考える。
今回使用した「できたぞカード」や感想文の記述に友達のよさ、工夫したことなどの内容が見られた。書くときに特に指示をしなくても、児童は相互評価をしていたものと考えられる。したがって、教師が見る眼を養うと同時に、児童の自己評価や相互評価も取り入れていく必要があるだろう。
2 今後の課題
研究のまとめの部分で、児童の自己評価や相互評価をもっと取り入れたいと述べたが、今回作成した「できたぞカード」の形式や内容については、さらに検討しなければならないと考えている。
基本的には、短時間で記入でき、児童の負担にならないということであろう。幸い、カードについての児童の反応は、ニコニコマークなどに○をつける作業が中心だったのでよかったようである。
もう一つは、評価に関することである。教師が活動後に記入する「援助・評価カード」を作成し、活用を試みたが、児童の姿をつい忘れてしまいがちであったことは、大きな反省点である。
もっと手軽に、その都度記入できるものを工夫することが大切と思われる。そうすることによって、十分とは言えないが、活動における児童のよさを見逃さないで、的確に見取り、記録することができるであろう。
これらの課題については、今後さらに実践を通して研究していきたいと考える。
最後になりましたが、単元の活動計画作成のためのアンケート調査をはじめ、「秋となかよし」の授業実践に当たり、ご協力いただいた伊達郡保原町立上保原小学校の田中実校長先生と東城信子先生に心から感謝申し上げます。
[参考文献]
小学校指導書 生活編 (文部省) 小学校 生活 指導資料
指導計画の作成と学習指導(文部省) 指導資料 生活科の理論と展開 (福島県教育庁義務教育課編)生活科教育の理論と方法 (東洋館出版社) 生活科の指導案づくり (東京書籍) 生活科の評価読本 (教育開発研究所) 生活科研究紀要 (水戸市立常盤小学校)