平成5年度 研究紀要 Vol.23 -133/162page
環境教育における「川」の教材化
長期研究員 松本 学
はじめに小学校における環境教育では、児童に環境や環境問題に関心をもたせ、人間生活と環境の関わりについて考えさせることが大切である。そのためには、身近な環境に対する児童の関心や問題意識を高めていく必要がある。
1 研究の動機県内各地の小学校に対して行ったアンケート調査(平成4年度福島県教育センター科学技術教育部プロジェクト研究)では、環境教育の内容を含む6学年単元「人と環境」の内容に関して、体験的な学習指導が難しい理由として下記のようなことがあげられた。
ア とらえにくい内容がある。
イ 設備や教具が不足している。
ウ 実験,観察が難しい。
工 資料を集めるのに苦労する。
オ 興味・関心がうすい。
カ 適当な観察場所・対象がない。
キ 指導カに不安がある。
ク その他。
「とらえにくい内容がある」、「設備や教具が不足している」、「実験、観察が難しい」など環境に関する指導内容をどのようにとらえるか、また体験的な学習をどのように行わせるかなどに問題点を感じている場合が多くあり、環境教育に関する教材や指導法の開発が必要とされていることが分かる。
本研究は、「川」及びその周辺の生物を教材とした体験的な活動が環境教育に関する教材として可能かどうかを調べたものである。
<「川」の生物を調べる意義>
川には、いろいろな生物が生息しているがこれらの生物は直接水と接しているため、水質の変化に敏感であり、いろいろな水質の川に適応できる種類が決まっていることが多い。そのため川の生物の調査により、水質を簡単に知ることができる。また、川を調べることにより、家庭雑排水等による環境汚染の問題を考えさせることもできる。
また魚捕り、オタマジャクシ捕りなどの原体験の場である「川」は、児童の身近にある自然環境であり、小さい頃からの遊びの対象である。その意味から児童が自分自身の生活に身近な川の生物を通して環境について考える意義は大きい。
2 研究の内容
(1)水生生物による環境の評価と教材化
(2)水質検査試薬を使った環境の評価と教材化
(3)帰化植物による環境の評価と教材化