平成5年度 研究紀要 Vol.23 -134/162page

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3 研究の実際

(1)水生生物による環境の評価と教材化

 学校の周りで観察される川で、児童が徒歩で行ける範囲にある環境の明らかに異なる川を6地点選び(図2、福島市立瀬上小学校付近)、川の汚染と水生生物との関係を調査した。水生生物の採集は、すべて子供用の網か素手で行い、魚類を除く水生生物を採集した。採集した生物はすべて標本にして、図鑑で種名を同定した。

 1.調査した地点の様子

  A-1,2地点: 福島県教育センター付近のどぷ川で水深は浅く、夏場は悪臭がする。

  B 地点: 瀬上の住宅地域を通る蛭川で、阿武隈川にそそぐ。悪臭がする。

  C 地点: 生活雑排水などが摺上川にそそぎ込む所で水あかがある。

  D 地点: 瀬上の商店街を流れる用水路で流れが速く、澄んでいる。

  E 地点: 摺上川の幸橋付近で水の流れが速く、澄んでいる。

図2調査地点略図(福島市瀬上地区)
図2調査地点略図(福島市瀬上地区)


 2.各地点で採集された水生生物と環境

Aー1地点

 ここは、いわゆる「どぷ」で近くの住宅の雑排水が絶えず流れ込み白く濁り、水底には大量のヘドロがたまっている。夏場は悪臭がし、汚水が移動しない(流れがほとんどない)。

写真2A-1のどぶの様子
写真2A-1のどぶの様子


 ここでは、セスジユスリカ幼虫やミズアプ幼虫が採集されたが、その他の生物は見られなかった。

写真3ミズアブ幼虫
写真3ミズアブ幼虫


A−2地点

ここも「どぷ」であるが、流れがあり水量も多い。家庭雑排水が絶えず流れ込んでおり、悪臭がする。

写真4A-2地点の様子
写真4A-2地点の様子


  ここでは、セスジユスリカ幼虫のみであった。


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