平成5年度 研究紀要 Vol.23 -137/162page
(2)水質検査試薬を使った環境の評価と教材化
薬品による水質の調査を行えば、水の汚れの原因をより詳しく分析することができる。そこで、児童・生徒でも簡単な操作で水質を分析できる市販のパックテスト(COD※、リン酸イオン※※)とpHメーターで各地点の水質を調査した。
※化学的酸素消費量で、水中の酸化されやすい物質(主に有機物)の談化により消費される酸素の量を表す。CODの値が高いほど有機物の量が多く、川は汚れていることになる。
**リン酸イオンは、家庭雑排水や屎尿処理排水などに含まれ、窒素とともに川の富栄養化の原因となる。値が高いほど汚れている。
地点 COD リン酸イオン pH A-1 10〜20 5 6.8 A-2 10 1〜5 2.3 B 4〜5 0.5〜5 8.0 C 7 1〜2 6.6 D 4 0.2 6.9 E 2 0.1 7.4 図3 測定結果(93,9調査)単位=ppm
測定の結果、CODは、A地点のどぷ川が最も高く、次に、生活雑排水をまとめて摺上川にそそぐC地点の川が高い値を示した。今回調査したなかではE地点が最も低い値を示し、汚れ具合が最も少ないことが分かった。
リン酸イオンは、A-1,2地点のどぶ川や瀬上地区の生活雑排水を集めている蛭川が高い値を示した。COD同様、E地点の値は低かった。
pHは、A-2地点で強い酸性、B地点の蛭川でアルカリ性を示し、環境の大きな変化を示している。
(3)帰化植物による環境評価一般に人間の手が常に加わり、環境が不安定になっている所では、在来種の勢力が弱まり、帰化植物が多くを占めるようになる。また舗装による土壌の乾燥とアルカリ化、水の汚れなどによる富栄養化などは特に帰化植物にとって有利な条件をつくりだしている。
そこで、帰化率(帰化植物率)***を調べれば、そこの土地がどれだけ自然状態から離れているかをおおよそ知ることができる。摺上川のE地点で10×10mの調査区をとり調査した。(93,9,5)
***帰化植物の種類数に対する全種類の割合(%)