平成5年度 研究紀要 Vol.23 -148/162page
3 ソフト使用の感想
開発したソフトの改善のため、中学校で試行した。なお、対象としたのは県中地区のK中学の3年生(19名)で、アンケート形式で回答を得た。その結果についてまとめたのが、下の図である。
項目1,2は、ソフトに対する関心・意欲について調べたものであり、項目3,4は、知識・理解の面について調べたものである。どの項目についても比較的高い値を示しているが、項目4が他に比較して低いことから、ソフトの内容について再検討すべきものと考えられる。
ある生徒のソフト使用授業に対する感想は下記のとおりである。他のほとんどの生徒も、この生徒と同じようにエイズソフト使用について肯定的に受けとめており、その有効性が確認できた。
IV おわリに
県内で性教育、特に「エイズ教育」に取り組ん でいる学校は、文部省等の研究指定を受けている学校など少数で、教師の意識として、一般的にはエイズ問題は「対岸の火事」のレペルにとどまっているのではないかと考えられる。
しかし、新聞報道等にもあるように、エイズは、「だれもが感染の可能性のある病気」であり、しかも、いったん感染すれぱ免疫中枢が確実に破壊されるという人類未体験の恐ろしい病気でもある。ウイルスの専門家は、発症を遅らせても完治させることのできない現状を踏まえ、「教育こそが最良のワクチンである」と指摘している。
このような状況を考えるとき、教育の力によって感染を未然に防ぐことができるならぱ、「エイズ教育」の在り方を学校教育の中でどう取り上げていくべきなのか、真剣に議論する必要があると考える。このような観点から、今回開発したソフトが、「エイズ教育」の一つの教材になれぱ幸いである。
最後に、貴重な資料の提供やご協力をいただきました関係機関並びに諸先生に心より感謝申し上げます。
参考文献
「エイズに関する指導の手引」 日本学校保健会編 文部省体育局学校保健教育課監修 第一法規
「性に関する指導の手引 」福島県学校保健会編、 教育庁保健体育課監修
「エイズそこが知りたい一エイズ教育マニュアル」 デビット・スズキ著 草土文化
「中学生用エイズ教育教材一エイズを正しく理解しよう」 文渓堂
「AIDS正しい理解のために」 第一法規
「Newton」1987/Ju1y Vo1.7 No.7
1993/FebruaryVo1.13 No.2 教育社「衛公研ニュースレター第38号」 福島県衛生公害研究所
「教育と医学一エイズは教育で防げるか」1993 7月号 慶應通信