研究紀要第94号 「一人一人の個性を生かす評価の在り方に関する研究」 -003/162page
中学校外国語科(英語)における実践
1 外国語科(英語)において求められている学力と評価
学習指導要領外国語科(英語)では中学校及び高等学校を通して、国際化の進展に対応し、国際社会の中に生きるために必要な資質を養うという観点から、特にコミュニケーション能力の育成や国際理解の基礎を培うことを重視している。その際には、(読むこと及び書くことの言語活動の指導がおろそかにならないように十分配慮しつつ)日本人が苦手としている聞くこと及び話すことの言語活動の指導が一層充実するよう内容を改善しなけれぱならない。また、学習指導要領の改訂の基本方針では、「外国語の習得に対する生徒の積極的な態度を養い、外国語の実践的な能力を身につけさせるとともに、外国についての関心と理解を高めるように配慮すること」が明記され、外国語で積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成も目標にあげられている。
学習指導要領では、全教科を通して、自ら学ぷ意欲や思考力、判断カ、表現力などの育成が特に重視されている。これらの力は、単独で伸びていくものではなく、お互いの学力がそれぞれ刺激し助け合って獲得されるものであると考えられる。この学カ観に基づく外国語科(英語)における学力とは、従来重視されていた「文法や単語などの知識・理解」だけが学力ではなく、その知識を積極的に活用してコミュニケーションを図ることができる能力であると言える。まず、コミュニケーション能力は、外国語で積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度に支えられて育成されるものであり、また、コミュニケーション能力がコミュニケーションを積極的に図ろうとする態度を育成するという相補的な関係にある。さらに、表現や理解の能力、言語や文化についての知識・理解は、積極的なコミュニケーションを通して身につくものであり、これらの能力や知識・理解を積極的に活用することによって、より充実したコミ ユニケーションが成り立つ。
外国語(英語)科における評価をする上では、認知的能力の測定に偏らず、英語という言語そのもの、英語の学習、英語でのコミュニケーション、英語文化などへの興味・関心などを適切に評価すべきであろう。また同時に、もちろん評価は、生徒の評定をするためという目的のみに使われることなく、授業の様々な場面で表れる生徒の学力や「よさ」を適切にとらえ、生徒の学習意欲の喚起やよりよい学習のための指導の修正を行う機能を果たすものでなくてはならない。
2 コミュニケーションと評価に関するアンケート調査
コミュニケーション能カを教師がどうとらえ、その関心・意欲・態度の評価をどのように行っているかを知るために、県内の英語教師30名にアンケートを依頼した。その結果を設問順に考察した。なお記述式回答は教師の努カや悩みが直接感じられるものであったが、回答総数が大変多かったため紙面の関係上その中の一部のみを記載する。
問1. コミュニケーション能カを育てようとする場合、どの領域に指導の重点をおいているか、あるいはおこうとしているか。
このように「聞くこと」「話すこと」の割合が高く、音声でのコミュニケーション能力に重点をおいている教師が多いことが分かった。