研究紀要第94号 「一人一人の個性を生かす評価の在り方に関する研究」 -004/162page
問2.指導要録の「コミュニケーションヘの関心・意欲・態度」の観点の評価をしたときに「もとにしたもの」「苦労した点・意見」は
「もとにしたもの」に対する答えとしては、「CommunicativeActivityにおける活動の状況を観察(表現意欲など)」「アンケートの結果」など様々な機会をとらえて教師が観察したものが多く、その他としては、「生徒の目己評価カードの記載内容から判断」したというものがいくつか見られ、内面の「よさ」を探ろうとする意欲的な取り組みも多かった。一方、「苦労した点・意則としては、「関心・意欲はあっても、積極的になれないなどの個人差もあり、見極めが難しい。恥ずかしがりや、気持ちが優しい子など、活動場面では少々遠慮してしまいがちである」「評価されていることを意識すれば、生徒は意欲を失う」など、情意面を適切に把握する難しさを述べている回答が多かった。
問3. 指導要録の記入をした際の、観点別の評価と評定との関連をどう図ったか。
この問いに対しては、8割以上の教師が「観点別評価の状況を部分的に組み入れて」と答えており、残りの2割は「5段階評定と観点別評価は切り離して考えた」と答えている。その他の欄に記述されていた内容では、「まず5段階評定が決まり、その結果を見た上で、観点別評価の項目に生徒の実態をあてはめ、ABCの評価を行った」という記述が複数あり、実際に最も一般的に行われている方法であると思われる。その他の記述として、「一番望ましいのは、観点別から評定をつける方法だと思う。しかし、そのためには、英語教員の中での話合いや、生徒観察、さらに十分な資料(生徒一人一人の)が必要となり、つまりは教員にそれだけの時間が必要だと思う」という回答があり、自分が目指す評価方法を取るには時間がなくて、思うようにできない悩みが感じられた。
問4.「コミュニケーションヘの関心・意欲・態度を高める手だての工夫とその評価」についてどう考えるか。
高める手だてとしては、たくさんの方法の記載があり、週4時間を使用できる状況になったことを十分に生かそうとしている様子が感じられた。具体的には、「生徒の興味を引く、教材・話題・活動の精選」「生徒の希望による学習課題の選択」「AETとのTeam-Teachingを生かしたコミュニケーション活動」「TV番組、VTRを使用した指導」などがあげられていた。評価観としても、「コミュニケーションヘの関心・意欲・態度は、他の評価の観点に比べ、従来のテストによって把握できないものを評価でき、その意味で、一人一人のよさを認め、生かし、伸ばすための大きな鍵となることが考えられる」「観点別評価は、個人内達成度と考えている。一人一人の生徒の実態を明確にし、それに基づいて、その子なりのがんぱり、努力について高く評価したい」など、生徒一人一人をいかに伸ばしていくかを真剣に考えながら評価しようとする記載が多かった。評価の方法としても、目己評価、相互評価を使用しているとの記載もあり、一人一人を生かすという指導要領の趣旨が着実に浸透しつつあることを感じた。
問題点や課題としては、「関心・意欲はあっても、それを表に出せない生徒に対しての教師の観察は正確ではない」「知識・理解の定着が不十分な生徒は、観点別評価で関心・意欲・態度がAになっても、その他の観点は結局は知識・理解の定着に大きくかかわるので、相対評価の評定には生かされない」などの難しい点が多数記載されていた。
以上のアンケート結果を、研究計画を作成する段階で、あるいは研究実践の過程で参考にし、各学校の実態をふまえた研究を進めたい。
3 外国語科(英語)研究主題
今年度の研究では、外国語科(英語)において、