研究紀要第94号 「一人一人の個性を生かす評価の在り方に関する研究」 -012/162page
3 授業III「テキストを使用した授業で、コミュニケーションの楽しさを味わわせる活動」
ここでは、テキストの新出文型や本文の理解を進める上でどのようなコミュニケーション活動の工夫ができるかを考え、授業を行った。授業導入時のT-P,P-Pの基本会話は、日常のものを継続して行い、前時に導入した新出文型の定着を図る段階で、教師と生徒の演じたスキットを利用した。スキットは、説明なしで内容を理解させるために、数回見せる必要があり、ピデオに録画して流した。本文内容理解はOra1 Introductionで行ったが、その際には下記の2点に考慮した。
・本文の内容を読むのではなく、生徒を見て話す。
・話す際は一方的に聞かせるのではなく、生徒への質間を交えながら会話形式で進行する。
(Interactive Introduction) Ming and Joe are talking. Joe studies very hard evvery day. Because he wanjts to be a translator. Do you know the meaning of "trnslator"? Please raise your hand sho wants to be a tanslator? TV star? or policeman? So Joe studies Japanese and English hard. Which subject do you study hard? Ming said toJoe. "You don't have to study so hard,・・・"
導入の段階のP-Pの基本会話は、Want to be構文を利用したが、お互いのimfomation gapを埋める活動になるため、生徒の活動は活発に行われた。また、内容の聞き取り状況の把握はブリントにより行ったが、英文で質間したものと、日本語で質問したものを準備し、自由に選択させた。もちろん、英文で質問することにより、少しでも多く英語に触れさせたいが、その方法では、内容を理解していても、英語での質問を理解できないために解答できない生徒がでてくることが考えられる。
基本会話の導入で使用した、クラスの代表と教師との自作スキットには全員が注目し、真剣に内容を把握しようと努力した。その後の会話練習がわずかの時間であったにもかかわらず、4人以上 と会話した生徒が5名もいた。このように、いつもの時間よりも意欲的に会話を行っていたのは、自作スキットによる動機づけがうまくいったためとも考えられる。
本文内容把握のために使用したブリントの選択状況を見ると、英文でのプリントを選択した生徒と日本語でのプリントを選択した生徒が、それぞれ18名ずつで全く同数であった。これを成績グループ(※)で見ると、グルーブ1.2で英文を選択した生徒が18名中13名、グループ3、4で英文を選択した生徒が、19名中(欠1)5名であり、多くの生徒が、自分の学力から判断してプリントを選択していた。授業後のアンケートでも「選択が間違った」と答えた生徒は一人もいなかった。プリントを選択して取ることに戸惑いや違和感はないようであり、スムーズに選択して各自学習していた。このような形式で、生徒自身の自己判断を生かすことも、生徒の関心や意欲を高めるためには有効であると考えた。
※ 成績グループは、1学年時の成績の上位から10,10,10,9名ずつ分け、グルーブ1〜4に分類したものである。
4 授業IV「AETとのコミュニケーション活動を通して文化の相互理解の楽しさを味わわせる活動」
検証授業のコミュニケーション活動のまとめとして異文化理解活動を計画した。外国文化を積極的に理解し、目本文化を正しく伝えるという、受信型発信型のどちらにも偏らな