研究紀要第94号 「一人一人の個性を生かす評価の在り方に関する研究」 -022/162page
よさや、アドバイスを文章で記述する後半部分を分析、点数化し、集計した。満点(全てのグルーブについての記述が、Aである場合)を100点に換算して、順位を導き出した。なお、AからDのランクづけは、以下の基準によった。
A 自分なりの見方(意見)をもつて具体的に記述しているもの
B 記述内容は明確だが、自分なりの見方や具体性に欠けるもの
C 漠然とした印象を断片的に述べているもの
D 記述のないもの(「特になし」を含む)
異文化理解の授業では、各グルーブの発表後にジャッジングペーパーの記入時間を設けたため、記載内容の充実が図られた。記載内容は、全体的には「よい」ところを見つけほめてあるものが多かった。中には、教師のコメントよりも厳しいものもあり、生徒は厳しい評価であってもそのまま素直に受け入れていた。事後のアンケートの中で、 相互評価についての感想を自由記述する欄を設けたが、その中で「みんながジャッジなので発表もきちんとし、きちんと聞けた」「自己評価と同じで、いいならいい、悪いなら悪いなりの評価ができた」「他人のいいところやこうした方がいいというところを書けたのでよかった」などという記述があった。もちろん「相手によって甘くなったり厳しくなったりした」という評価もあったが、全体の感想としては「よかった」という感想がほとんどであった。
次のグラフは相互評価について事前の予想と中間の感想、事後の感想を表したものである。
このように、事前では否定的な考えがほとんどであったが、中間、事後では肯定的な評価の方が多くなった。特に「甘くなる」という予想に対して、「甘くなった」という結果が中間、事後と大幅に減少しており、ジャッジとして相手をきちんと評価したという自信が感じられる。生徒の気持ちや発達段階を十分に考慮した上での相互評価は、