研究紀要第94号 「一人一人の個性を生かす評価の在り方に関する研究」 -027/162page
このように、ほとんどの生徒が、英語でのコミュニケーションに対して関心や意欲を見せるようになってきた。これはコミュニケーション活動として準備したものにグループ活動が多く、英語でのコミュニケーション活動だけではなく、グループで集まって話ができることが楽しいということも要因になっていると思われる。しかし、活動を計画的に組み立て、継続していくことによって、それが英語でコミュニケーションすることへの楽しさに変わっていくのではないかと考えられる。
※抽出生徒の変容
生徒M<下位>女子 初めは自信のなさが見られたが、グループのメンバーや教師からの働きかけにより次第に意欲的な態度が見られるようになり、表情も豊かになってきた。グループ内で真っ先に辞書を使って調べたり他の生徒に何かを働きかける場面が目立つようになってきた。アンケートヘの回答は、学級全体の傾向とほぼ同じであるが、事後アンケートで個々の質問項目に対して複数回答をしていることが、前期アンケートと異なった。これは、英語学習やコミュニケーション活動への関心・意欲・期待感の高まりと見ることができる。「英語で話すことは好きだけどみんなの前で話すのは恥ずかしい」という記述もあった。また、映画の吹き替えでは「いつもの授業よりもとても楽しかった、これからの普通の授業でも楽しくなれぱいいな」と感想を書いた。 生徒S<下位>男子 2回目の検証授業までは、あまりやる気を見せず、活動に熱心でないにもかかわらず、グルーブ活動の自己評価は必ずAと記入しており、友だちと自由におしゃべりができればいいんだという様子であった。また、記述式の回答には何も書かなかった。しかし、3回目からは以前 より取り組みにまじめさが見られるようになったにもかかわらず、自己評価はBとつけるようになり、「発表の準備がよくなかった」「前もってきちんとやる」などの記述をするようになった。自分を見つめようとする態度が見られるようになってきた。 生徒Y<中位>女子 アンケートを見ると今回の手だてを通して「英語で話す楽しさが分かった」「人前で発表できるようになった」など、英語で話すことに対する関心や意欲の高まりが見られるようになった。当初は自信のなさから、会話練習や発表なども消極的な態度であったが、活動を重ねるにしたがって、グループ活動や会話練習など積極的に活動するようになっていった。 生徒D<中位>男子 活動を重ね、英語で話すことの楽しさを感じるようになるにつれて、アイコンタクトを取るなど積極的にコミュニケーションをしようとする態度が強く見られるようになってきた。検証授業全体を通して、最も積極的に活動した生徒の一人であり、また、クラスメートから取り組み方やその変容を最も認められた生徒であろう。社交性や、本来もっていた「よさ」が生かされ、伸びていったのがよく感じられる。評価についての記載を見ても「自己評価はよいと思うが自分でその後改善していかなけれぱならないと思う.などと書いており、自己評価や相互評価の内容に対して主体的な課題意識や厳しさが見られ、それらを自分の向上に生かす手だてとして意識できるようになってきている。 生徒 日によって態度に差があり、いいかげんな態度が見られるときもあった。しかし、発表のときなど必要に応じてきちん