研究紀要第94号 「一人一人の個性を生かす評価の在り方に関する研究」 -028/162page

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O<上位>男子 とした態度で臨んでいた。アンケートでは「もっと積極的に発言しなけれぱならない。人前で話したりするには吹き替え練習はよい訓練だ」と答えており、発言が十分でないという自己評価と、よいことだからもっと真剣に取り組まねばならないという意識も表れていた。事後アンケートでは「実用的な英語を覚えてよかった」と評価したり、「もっとまじめにやるんだった」と反省したりしている。授業中の態度や照れ屋である性格などと併せて考祭すると、コミュニケーション活動の重要性は十分認識したことが感じられる。
生徒T<上位>女子   本来まじめな生徒であるため、6,7月には大きな変化は見られなかった。しかし、9,10月には声も大きくなり、積極性などのブラスの変化が見られた。また、7月に行った中間アンケートでは「しっかり勉強して、2学期には勇気をもって発表したい」と答えていた。彼女自身の課題が回答の中に明確に表れている。事後アンケートでも「コミュニケーションをすることの大切さがよく分かうた」と書いており、次第に積極的に英語で会話することができるようになり、意識が着実に高まったことが感じられた。

生徒のコミュニケーション活動に対する感想

英語で外国人とコミュニケーションすることで、自分の考えや、自国の文化を教えることと同時に相手の考えや相手国の文化を知ることができて自分の視野を広げることができるのだと感じた。また英語を話せなくてもジェスチャーや片言の英語で心が通じ合えるものだと感じた。

英語のコミュニケーションはなれれば簡単だけど、なれるまでけっこう苦労するから、これからも英語を勉強して外国の人と話をできるくらいにしたい。

自分は、ほんといって、英語は、よめないし、みんなとついてけなくて、すごく、最初の方は、楽しくはなかった。けど、みんなと、いっしょうけんめい辞典などでしらべてみたりして、書いていくと、なんか、楽しくて、これからも、その気持ちをわすれないでやってみる。

* 評定の在り方

 生徒指導要録の評定の観点は、新しい学力観に沿って設定されたものであることは言うまでもない。観点別学習状況の評価の方法については絶対評価である。アンケートの結果などから実際の評定の状況をきくと、観点別の評価は評定をする際に一部参考にする程度であり、評定をほとんど決めてから最後に若干考盧に入れることが多いようである。しかし、観点はそれぞれが学力の一部であり、その総合から相対評価によって評定が決められるのが本筋であると考える。そこで、生徒Dを例にとり、今回のようなコミュニケーション活動の評価を生かした評定の例を示してみる。これは、あくまでも一つの例であり、学期の生徒の活動やテストなど全てを材料にしたものではない。各観点の評価から、評定を導き出す過程を示したものである。

1. 各評価方法と評定とのかかわり

・自己評価 一 個人の性格によって左右されることが少なくないため、評定に直接使用するには客観性に問題がある。また、生徒が学習の価値を認め、意欲が高まることによって、かえって自己評価を厳しくする傾向も見られる。

・相互評価 一 人間関係により甘くなりがちであるが、今回の活動のようなジャッジとしての相互評価は生徒もその価値や方法に対して信頼しており、評定の客観的な材料の一部として使用しても問題はないと考える。

・教師からの評価 一 自己評価や相互評価から見られるもの1こ対して適切にフィードバックを繰り返し、観点に従って目に見えるものを客観


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