平成6年度 研究紀要 Vol.24 個人研究 -096/156page

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(2) 自己評価,相互評価を通して,表現力を高める効果的な評価方法の在り方を探る。

(3) 表現力を高める指導方法に基づいて,検証授業を計画実施し,検証授業結果を分析することにより,指導方法の有効性を実証する。

2 研究の計画

第1年次(平成5年度)

(1) 文献研究により,社会科における「表現力」,「表現活動の特性と類型」,「体験」の概念を明確にする。また,表現力を向上させる評価活動の在り方を探る。

(2) アンケート調査や観察によって,児童の表現活動の特性を把握するとともに,直接体験を取り入れた「指導の全体構造」を明らかにする。

(3) 「指導の全体構造」を基に検証授業「工業生産と公害」を実施する。

(4) 検証授業の分析,考察,評価法の検討

第2年次(平成6年度)

(1) 前年の反省を基に,検証授業「明治維新を進めた人々」を実施する。

(2) 検証授業の分析,考察,評価法の検討

(3) 研究のまとめ

3 研究の対象

  同一学級における継続研究とし,会津若松市立門田小学校6年4組(38名)を研究対象とする。

V 研究の実際と考察

1 研究に関する基本的な考え方

(1) 表現力とは

 ここでいう「表現力」とは,金本正武氏の考えを基本とし,「学習メディアを活用し,思考し判断した過程を自分のよさや可能性を生かしながら,的確にあるいは創造的に表現することができるとともに,他の考えを受け入れ,新しい自己を創り上げていく力」ととらえた。また,表現力を構成する要素を,文献研究を基に,次の4っの側面からとらえた。

1) 表現しようとする意欲・態度(表現意欲)

2) 表現しようとする内容をつくりだす力(創造力)

3) 表現に必要な知識・技能を基にした自分の意見の正当性や根拠,あるいは,作品のよさを理解してもらう力(説得力)

4) 他の考えを受け入れ,新しい自分の考えをつくりあげていく力(応用力)

 さらに,表現力が高まっていく過程を,次の図のように考えた。表現に必要な「知識・技能」を基にした「説得力」や表現内容をつくりだす「創造力」が,「表現意欲」を中心に,スパイラルな形で表現力を培っていく。最終的に「応用力」によって,新しい自分の考えを創造していく過程ととらえた。

表現力が高まっていく過程

 本研究では,この4っの要素を高める手だての有効性を追究していきたい。

 下図は,単元の指導過程における表現力の要素と,具体的な手だて及び各指導過程において育成される諸能力との関連を示したものである。

指導過程における表現カの要素と具体的な手だて及び諸能力との関連
指導過程における表現カの要素と具体的な手だて及び諸能力との関連

 指導の各段階における諸能力の分析から,表現活動は,調べ活動などを通した知識の獲得や思考力・判断力の育成と一体であり,表現しようとする内容が,確実に収集されていることが大切であることが分かる。そこで,「調べる段階」に,間接体験で得た知識の内面化を促進させる「直接体験」を位置づけ,一人一人の「創造力」を培うようした。

 また,表現意欲は,初めから児童の中に育っているのではなく,教材との出会いや様々な学習活動,


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