平成6年度 研究紀要 Vol.24 個人研究 -099/156page

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(4) 学習計画立案 [図−(4)]

 何をどんな方法で調べたらよいかの見通しを明確にし,課題解決のための計画を立てる。ここでは,表現活動の特性を生かし,表現方法,表現形態を自分で選択させる。教師は,個々の児童の調査結果を基に,自己選択のための支援をする。

(5) 多様なメディアを活用した追究学習 [図−(5)]

 学習計画に従って,自分の最も追究しやすい様々な学習メディアを活用し,学習課題を解明していく。また,児童中心に学習を進めるので,学習の手引きなどを準備し,児童が主体的に学習できるような配慮も必要である。

 また,次の直接体験に発展できるような教材の活用にも配慮していく。

(6) 追究学習のまとめ [図−(6)]

 追究学習によって得られた学習内容の情報交換をし,情報の共有化を図る。また,新たな発見や課題を基に,体験学習への心構えをつくる。

(7) 体験学習による認識の深化 [図−(7)]

 表現力の基盤となる感性や想像力,思考力などを直接体験によって育成する。特に,体験での児童の多様な気付きを大切にし,次の表現活動に生かせるようにする。

(8) 多様なメディアを活用したまとめの表現活動 [図−(8)]

 個々の児童が,自分の表現活動の特性を生かす表現方法を選択し,学習成果を表現する場である。表現内容については,学習課題を意識させ,個性的な表現を大切にし,尊重していくようにする。

(9) 学習成果の相互交流 [図−(9)]

 学習の成果を相互に発表し合いながら,相互評価によって,他の児童の表現方法や表現内容のよさを学び合い,社会的事象に対する見方,考え方を拡充・深化させる場である。

(10) 反省と自己評価 [図−(10)]

 自分の学習成果と共に,表現活動の仕方などの学び方についても自己評価させる。また,自己評価によって,自分の表現の仕方の特性を意識させ,次の学習に生かせるようにする。

表現力を高める指導の全体構造図

(1)
実態調査 ・ 表現活動に関わる実態調査と把握
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(2)
オリエンテーション ・ 学習の進め方やイメージの理解
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(3)
共通課題の設定
(課題意識の醸成)
・ 一斉学習による共通課題の設定
・ 教師や子どもによる自作メディア教材
・ 課題に対する自分の考えの明確化
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(4)
学習計画立案 ・ 追究方法や表現方法の計画立案
・ 共通・個別に調べる内容の決定
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(5)
多様なメディアを活用した追究学習
(主に創造カの育成)
・ 多様な学習メディアによる学習
  ビデオ.コンピュータ.図書,実物,
・ 順序選択学習
・ 情報交換
・ 学習課題に対する総合的な理解
・ 直接体験へ発展性のある教材
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(6)
追究学習のまとめ ・ メディアコーナーでの追究学習のまとめ
・ 学習内容の共有化
・ 新たな発見や課題を提起する
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(7)
体験学習による認識の深化
(主に創造力の育成)
・ 直接体験による学習
  インタビュー,見学,ビデオ撮影など
・ 直接体験による社会的認識の深化
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(8)
多様な学習メディアを活用したまとめの表現活動
(主に表現意欲・創造力・説得力の育成)
・ 個の表現活動に関わる特性を生かす活動
  新聞,絵地図,年表,ビデオ作品,TP劇,コンピュータなど
・ グループ活動の中で,個のよさを生かす。
・ 個の特性を生かした表現形態
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(9)
学習成果の相互交流
(主に応用力・表現意欲の育成)
・ 学習内容の共有化
・ 学習内容の関連づけ
・ 学習成果の相互交流と相互評価
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(10)
反省と自己評価
(主に応用力・表現意欲の育成)
・ 学び方についての反省と自己評価

2 指導の実際

(1) 検証授業1 「工業生産と公害」

1) 単元の目標

○ 工業生産に伴って起こる各種の公害の実態やその対策について,具体的にとらえさせ,今後の工業の在り方や国民生活について考えることができるようにする。

2) 検証の観点

○ 表現活動の類型化や直接体験を取り入れた指導過程,自己評価と相互評価を組み合わせた評価活動が児童の表現活動にどのような影響を及ぼすかを明らかにする。


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