平成6年度 研究紀要 Vol.24 個人研究 -103/156page
中心となる概念
天皇中心 (16%)
追いっく (18%)
徴兵令 (18%)
武士の不満(16%)
富国強兵 (32%)
(調査人数13人)(ウ) コンピュータソフトの分析から
児童が作成したコンピュータの画面には,政府の役人,士族,農民,外国との関係で,それぞれの立場に立った考えが,音声を中心にまとめられていた。
以上の調査結果や作品内容の分析などから,調べる段階で,確かな知識の獲得による思考・判断の高まりがあったものだと考えられる。
このことから,表現活動の特性を生かすことは,「表現意欲」だけでなく,それに基づく,作品内容を充実させる「創造力」の向上にも効果があるものと考えられる。また,結果として,表現に必要な「知識・技能」の向上にも寄与できるものと考えられる。
(3) 直接体験が表現力に与える影響
1) 作品の分析から(公害の学習)
次に示すものは,公害の学習でA子が制作した地域にかかわる部分のビデオソフトの内容である。
ビデオソフトの内容
(1) 川や家庭排水の様子
(2) 川の汚れの影響
(3) 水銀が使用されていない乾電池
(4) フロンガスが使用されていない製品の紹介
(5) 公害を発生させない努力 (劇)このビデオには,学習したことを地域の様子と関連させ,自分との関わりで地域をとらえ直し,公害の発生を防ぐために自分たちでできることを実践しようという訴えが見られた。これは,実際に川や工場の様子などの見学という直接体験によって,学習メディアを活用した間接体験による理解から,一歩進んだ具体的なイメージを伴った共感的理解に達したからだと推察される。
2) アンケート調査から
下記の調査結果から分かるように直接体験は,自分の考えを深めるのに効果的であることが分かる。また,その理由からは,直接体験によって表現活動の基盤である感受性思考力などが育成されることがうかがえる。(グラフ6)
グラフ6 の主な理由
・ 実際に行ってよく考えさせられた。
・ 自分の考えを確かめられる。
・ 本物の方が分かりやすい。以上のことから,「直接体験」は,主として表現力の要素の1つである「創造力」の育成に効果があることが分かった。また,このことは,前述した「表現活動の特性を生かす指導」の「創造力」の育成に大きくかかわっているものと考えられる。
(4) 自己評価,相互評価が表現力に与える影響
1) 自己評価カードの分析から
1年次の検証授業で,発表終了後に行った自己評価と相互評価終了後に行った自己評価を比較してみると,全体的に相互評価終了後の方が得点が高くなっている。特に,「作品のよさ」や「自分の考えの正しさ」の項目の得点の上がり方が大きい。(グラフ7)
これは,相互評価活動によって,友だちに自分の作品のよさを認めてもらい,今まで気付かなかった自分の作品のよさを再発見したからだと