平成6年度 研究紀要 Vol.24 個人研究 -109/156page
3 授業の実際
授業は,福島市内の県立高等学校の1年生3クラス,計62名を対象に行った。なお,指導過程の第1次は生徒による自主学習として行い,「ワークシート1」の回答の分類と整理は第1次の授業終了後に指導者が行った。また,第2次の授業は,先の3クラス中の2クラス,計43名を対象に行った。
また,授業中の生徒の取り組みの観察に加え,第2次授業終了直後に生徒に対する事後アンケートを行い,ワークシートや授業における活動についての意識や実際の取り組みについての情報を収集した。
(1) 「ワークシート1」の回答結果について
「ウォーミングアップ」の回答は非常に多様なものであった。体の特徴に着目したものや,行動や体の動きに着目したものなどの客観的な視点によるものだけでなく,「見たことがあるもの」と「見たことがないもの」,「乗ってみたいもの」と「乗ってみたくないもの」など,柔軟で率直な視点によるユニークな視点によるものが多く見られた。
「見つけよう!」の回答には,生徒なりの明確な視点をあまり感じさせないものが多く,「構図」,「安定感」, 「バランス」,「変化」などの抽象的な造形用語を用いた表現が目立った。また,問いの意味をよく理解していないのではないかと思われる回答も多かった。
「何だろう?」では,視点が明確で,生徒一人一人の感じ方や見方が強く感じられる回答が多かった。「光」,「視線の動き」,「時間」, 「想像」,「心とからだ」,「別世界」, 「迷い」などのやや抽象的な言葉による記述や,「〜」や「…のようなもの」などの比喩的な表現のなかにも,自分なりのとらえ方を何とか表現しようとする意欲を感じさせるユニークなものが目立った。[資料1参照]
「探してみよう!」では,人物の表情の違いや絵としての描かれ方に着目した回答が多く,その表現は生徒なりの素朴で具体的な記述によるものが多かった。なかでも人物の表情に対して敏感に反応する生徒一人一人の感性が印象的である。
「やってみよう!」では,下の回答例のように,稚拙ながらも柔軟な発想で独自の世界を感じさせるものや,遊び心にあふれたものなど,生徒なりの率直なとらえ方やイメージを拡げてのびのびと取り組んだ様子が伺えるものが多く見られた。
(2) 第2次における生徒の取り組みについて
1) 「ワークシート1」の回答結果の提示に対する生徒の反応
生徒たちは,様々な回答に見られる友人の感じ方や見方の新鮮さや,その多様さに大変驚いた様子であった。特に「ウォーミングァップ」と「やってみよう1」の回答に対する「こんなこと思いつかなか