平成6年度 研究紀要 Vol.24 個人研究 -115/156page

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高等学校物理IBにおける「探究活動」の指導と評価についての研究

指導主事 阪 路 裕

研究の概要

 本研究は,「物理IB」における「探究活動」について,これをどのようとらえ,どのように進め,どのように評価していけば,その目的が達成されるかを明らかにすることをねらいとして二か年にわたって行ったものである。「探究活動」の具体的な展開の方法,評価の方法を例示し,それらを二っの事例について授業で実践した結果,次のようなことがわかった。

1) 「探究活動」は理科において,関心・意欲・態度,思考・判断,技能・表現など,新学習指導要領が目指す学力を育成するために有効な学習活動である。

2) 「探究活動」を進めるに当たっては,生徒が主体的に取り組めるような工夫と配慮をする必要がある。計画・準備,測定・処理,考察・まとめの3段階に各1時間,基本的に3時間を単位として実施すると効果があがる。

3) 「探究活動」の評価は,実験報告書,観察記録,自己評価などを基に,観点別に行う必要がある。その際,情意面の評価を重視し,評価結果を数量化すると,生徒の個性がよく把握できる。

4) 上記3)の評価法による「探究活動」の成績と定期考査の成績との間に大きな相関はみられない。

 このことは,「探究活動」では,ぺ一パーテストでは測れない生徒の能力や態度が発揮されていることを示している。

I はじめに

 改訂された高等学校学習指導要領の「理科」においては,観察,実験の一層の充実が図られ,具体的にIBを付した科目では,「探究活動」という形で指導すべき内容の一部に位置付けられた。

 この研究は,物理IBにおける「探究活動」を,どのようにとらえ,どのように進め,どのように評価していけばその目的が達成されるかを,授業実践を通して明らかにすることをねらいとして行った。

II 研究のねらい

(1) 「探究活動」をどうとらえるか,その目的や意義を明らかにすること。

(2) 「探究活動」をどう進めるか,その具体的な展開の仕方を例示すること。

(3) 「探究活動」をどう評価するか,その具体的な評価方法を例示すること。

(4) (2),(3)の効果を授業実践を通して確かめること。

III 研究の計画

第1年次(平成5年度)

(1) 先行研究,文献等の調査・研究

(2) 「探究活動」のとらえ方についての分析・研究

(3) 「探究活動」の進め方についての研究

(4) 「探究活動」の評価についての研究

第2年次(平成6年度)

(1) 「探究活動」の授業での実践及び考察

(2) 研究の評価とまとめ

IV 研究の内容

1 「探究活動」のとらえ方

 学習指導要領にある「物理IB」の目標は次の通りである。

 物理的な事物・現象についての観察,実験などを行い,物理学的に探究する能力と態度を育


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