平成6年度 研究紀要 Vol.24 個人研究 -117/156page

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(6) 一人一人が主体的に探究活動に取り組めるようにするには班編成は少人数(3〜4人)が望ましい。

表2 物理的な探究の一般的段階

段   階 探 究 の 方 法







0.体験 経験する。体験する。
予備知識(基礎知識)をもつ。
1.興味・関心 興味をもつ。関心をもつ。
疑問をもつ。
2.課題の設定 問題を発見する。解決したい(知りたい,調べたい)と思う。
課題を設定する。
3.仮説の設定 情報を収集する。観察する。
推測する。予想する。予測する
仮説を設定する。
4.実験の計画 実験の目的を明らかにする。
見通しをもつ。実験を計画する。
方法を検討・工夫する。装置を準備・製作する。計器を選択する。







5.測 定 役割を分担する。見通しをもつ。
装置を組み立てる。安全に配慮する。
条件を制御する。器具を操作する。
協力して進める。見当をつける。
測定する。記録する。メモをとる。
測定値を評価する。
6.データ処理 データを整理する。表にまとめる。
平均する。グラフ化する。
図表やグラフを解釈する。分析する。
外挿(内挿〕する。計算する。
有効数字を考える。結果を出す。








7.結果の検討 誤差を求める。相対誤差を求める。
結果を検討する。有意差を検討する。
対照実験を行う。議論する。
仮説を修正する。
8.規則性の発見 規則性を発見する。仮説を検証する。
9.発展・応用 類推する。論証する。他へ応用する。
新たな課題をもつ。
10.報 告 報告書を作成する。報告する。
発表する。発表を聴く。

(1)については,例えば落下運動の実験を行う場合,「重力加速度の測定」というテーマにすると,加速度が一定であることを前提にした検証的な実験になってしまうが,「落下運動はどんな運動か」というテーマで行えば,加速度が一定になるかどうかも含めて調べることになり,調べる方法もいろいろ考えられ,生徒にとって自由度の高いものになり,より探究的な展開ができる。実験に使う器具なども準備して配付するのではなく,生徒たちに必要なものを選ばせるような工夫をすると,それだけで関心が高まるであろう。

(2)では実験で用いられる探究の方法を教師が指示して形式的に処理させるのではなく,多様な方法の中から最も適切な解決法を生徒が選択していくような展開が望ましい。また,評価の観点を事前に明らかにしておくことによって,活動中の生徒をきめ細かく観察できる。この際,関心,意欲,態度などの情意的側面,技能や表現力などの技能的側面を積極的に評価していく必要がある。

(3),(4)は関連する。「何がわかっていて,何がわかっていないのか」, 「どこがどうなれば,何がわかるのか」など,実験の目的や手順,見通しを明らかにしておくことは実験を形式的な活動に終わらせないためにも,探究活動への関心,意欲を高めるためにもぜひとも必要なことである。

(5)の時間の確保は当然のことで,新学習指導要領では,「探究活動」や「課題研究」の時間を確保するため,内容の精選と集約ということが行われている。コンピュータを計測やデータ処理に利用する目的の一つは,時間を節約することによって,考えたり,議論したりする時間を生み出すことにある。

(6)の実験グループの人数については,3〜4人が理想であるが,施設設備の関係で難しい点がある。しかし,どのような人数構成になっても特定の生徒だけが活動し,他の生徒が傍観者になってしまうことがないように,実験の内容や展開の仕方を工夫する必要がある。

3 「探究活動」の評価

 生徒指導要録の改訂に伴って,各教科の評定については観点別学習状況を基本に行うように改められた。理科の観点は「関心・意欲・態度」,「思考・判断」「観察・実験の技能・表現」,「知識・理解」の4っである。したがって,評定は,これらの観点別に,ぺ一パーテスト,実験報告書,学習活動の観察記録などの評価資料を収集し,総合的に行うことが望ましい。

 しかし,従来から理科の科目の評定は,中間考査や期末考査などのぺ一パーテストの成績を基に行われ,「知識・理解」に重点をおいた評価が行われて


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